広西大学中国・アセアン研究院の羅伝鈺・副院長は、第2次トランプ政権の発足後に中国製造業の東南アジアシフトがさらに加速すると予想している。その根拠は、新政権が輸入製品に適用する原産地ルールを厳格化するのが確実視されていることだ。
最終製品の組み立てだけを海外に移した中国企業は、第2次トランプ政権による原産地ルールの変更で(中国からの迂回輸出と見なされて)打撃を被る可能性が高い。それは見方を変えれば、「より多くの中国企業が部品や原材料の生産も海外に移す契機になる」と、羅副院長は指摘する。
中国から東南アジアへの産業移転は、当初は製品の原産地のラベルを中国から別の国に“書き換える”のが目的のケースも多かった。しかし今後は、東南アジアに工場を建設して本格的な現地生産に移行する中国企業がますます増加しそうだ。
サムスンやアップルが先導
「その過程では最終製品のメーカーはもちろん、サプライチェーン(供給網)の上流側に位置する部品メーカーや原材料メーカーにも、徐々に移転が広がるだろう」。羅副院長はそう予想する。
例えばエレクトロニクス産業では、サムスン電子やアップルなどのグローバル企業が製品の生産拠点を(中国から)ベトナムやインドに移しつつある。それに伴い、サプライヤーの中国企業が部品の現地生産を要請され、集団で進出する動きがすでに見られる。
とはいえ、複雑な国際政治の先行きは不透明だ。個別企業のレベルでは、各国の貿易政策や経営環境の変化は予測も制御もできない。それだけに、海外進出する中国企業は変化に合わせて素早く動く必要があり、強靱かつ柔軟な適応能力が求められる。
(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は1月6日
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