秘策はドクターイエロー、JR東海の観光戦略 全国で過熱する「観光列車ブーム」にモノ申す

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翌年以降もこうしたツアーを続けるのか。この問いに対して、JR東海の担当者からは「50周年ということで、関係各所に無理を言って実現できた。来年以降は難しい」という回答が返ってきた。

ただ、こんな一言も付け加えた。「参加した人たちの笑顔を見て、何よりも現場が喜んでいた」――。ファンの笑顔に現場が応え、「東海道新幹線のおしごとを学ぼう」ツアーは今年も開催されることとなった。

レアな体験が満載のイベント

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見学客はスタッフお手製の横断幕に迎えられた(撮影:尾形文繁)

8月29日12時39分、JR東海・東京駅長のあいさつに続き、計72人(大人42人、子供30人)の参加者を乗せた新幹線が、東京駅から大井車両基地に向けて出発した。その直後に「ピピピピ」という警報とともに、自動音声によるこんなアナウンスが流れてきた。

「この列車は回送列車です。ご乗車いただけません。座っているお客様、間違えてご乗車したお客様は、進行方向の前寄りの運転室にお越しください」。回送列車でしか聞かれないレアなアナウンスだ。

田町駅辺りを過ぎたころから、新幹線は回送線に入り、出発からおよそ10分で大井車両基地に到着した。現場スタッフお手製の「ようこそ新幹線大井基地へ」という横断幕が出迎えてくれた。

現場スタッフの指示に従い、参加者は台車の点検や保安車両の走行などを見学した。普段目にすることのない作業を間近で見ることができるのは、得がたい経験に違いない。

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子供はドクターイエローの運転台に座れた(撮影:尾形文繁)

メインイベントのドクターイエローの車内見学は、一部車両の公開という予想を裏切り、1号車から7号車まで全車両を見せてくるとう気前のよさ。子供は運転台にも座れるという徹底ぶりだ。

東京駅に戻った参加者たちは、新幹線で名古屋に向かった。翌日はリニア・鉄道館のガイド付き見学だ。子供たちにとっては、一生の思い出となるに違いない。

この「おしごとを学ぼう」は、10~11月には名古屋でも開催される。名古屋車両所を初公開して、ドクターイエローの車内見学を行う。名古屋駅から名古屋車両所に向かう日比津回送線の乗車もファンにはたまらない。運転士や車掌が詰めている名古屋運輸所も初公開。運転士が実際に訓練で使っているシミュレーターを体験できる。

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