秘策はドクターイエロー、JR東海の観光戦略 全国で過熱する「観光列車ブーム」にモノ申す
今年の「なるほど発見デー」には、もう1つの目玉があった。それは、乗客を乗せた車両が東海道新幹線で唯一の踏切を通過したことだ。
もちろん、東海道新幹線の営業用の本線には踏切は存在しない。だが、浜松工場に向かう引き込み線内には踏切がある。浜松工場と本線を行き来する新幹線が1日平均2~3本通過しているが、乗客を乗せたまま通過するのは今回が初めてだ。
この新幹線の乗客は、JR東海グループの旅行会社、JR東海ツアーズが企画・実施した旅行商品の参加者たち。彼らを乗せた専用の新幹線は名古屋を出発し、浜松駅の手前から浜松工場への引き込み線に乗り入れた。
新幹線の車内から通過する踏切を見るという体験を味わうため、ほぼすべての乗客が窓の外の風景に釘付けとなった。窓の外では、「初めて乗客を乗せたまま踏切を通過する新幹線」を目当てに、多くの鉄道ファンがカメラを構えていた。
通過自体は一瞬で終わってしまったが、参加者には記念乗車券が配布された。踏切を通過したことを証明する、非常にレアな乗車券である。
"変化"は昨年から始まった
JR東海の“変化”は東海道新幹線50周年に当たった昨年から始まった。
CA(客室乗務員)が新幹線車内でファッションショーを行う日本航空(JAL)とのコラボツアーや、発祥の地である鴨宮基地と山梨県のリニア見学センターを訪問し、新幹線の過去から未来への歴史を学ぶツアーなど、例年では考えられないような旅行商品を次々と送り出し、いずれもファンから拍手喝采で迎えられた。
中でも話題を集めたのが、「親子で楽しむ新幹線 東海道新幹線のおしごとを学ぼう」という1泊2日のツアー。大井車両基地で新幹線のメンテナンス作業を見学し、新幹線に乗車したまま洗車を体験するだけでなく、ドクターイエローの車内見学までできるという、盛りだくさんの内容だ。この旅行商品は発売してから、あっという間に完売した。
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