日本の鉄道模型が欧州で売れ続けるワケ ガラパゴス化した日本の独自規格が大逆転

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一方、海外向けとしてはより大きな狙いがあった。「日本のNゲージシステム普及の旗印」だ。

日本では「鉄道模型といえばNゲージ」といっても過言ではないくらいNゲージの普及率が高いが、欧米市場では様相が異なる。一般的に普及しているのはNゲージより一回り大きいサイズのHOで、シェアは約8割。Nゲージは2割に過ぎず、どちらかといえばコアなファン向けの高級品扱いだ。

また、HOでもNでも、日本のように走らせるたびに線路を組み立てるのではなく、レイアウト(線路を配置したジオラマ)を保有しているのが欧米の標準的な鉄道模型ファンの姿とされてきた。

発売から半年で評価が急上昇

「アルプス氷河特急」を企画した、カトーの営業部副部長、関良太郎さん

だが、関さんが現地で話を聞いてみると状況は違った。都市部では日本と同様住宅は狭く、実家ではHOを楽しんでいたものの、狭い自宅でも鉄道模型を楽しむためにNゲージを新たに買うといった需要が実は増えている。

その一方で、走らせるたびにテーブルの上などで簡単に組み立て、片付けられるという日本で一般的な線路のシステムはほとんど普及していないという。KATOは「ユニトラック」という線路のシステムを展開しており、狭いスペースで楽しめる模型としては一日の長がある。

「鉄道模型の文化が長い欧州にわれわれの入って行く余地がけっこうあるぞ、という感触を持ったのも、欧州の車両を製品化したきっかけの一つ」と関さんはいう。

欧州でも狭い自宅でも鉄道模型を楽しむためにNゲージを新たに買うといった需要が増えている

日本独特の「1/150・9mm」でつくられた「氷河特急」は、当初欧州では「不思議な模型」という認識だった。長く取引のある現地代理店には理解されたものの、製品化にあたって契約を結んだレーティッシュ鉄道の担当者は最初「Nなのになぜ1/160スケールではないのか?1/150スケールなら、線路幅はなぜ9mmなのか?」と不思議がったという。

毎年1月下旬~2月上旬にドイツ・ニュルンベルグで開かれる、世界各国の鉄道模型メーカーが集まる見本市に出展した際も同様の反応が多く「なかなか大変というか、認識されるまではちょっと時間がかかりましたね」と関さんは振り返る。

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