ハーバード、イェールが高利で運用できる理由 個人投資家が使える「必勝戦略」とは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

第1に、短期的な市場変動にアタフタしなくて済む(ようにできる)ということです。最悪の時期に損切りをし、必要のない早期の利食いをする、ということを避けることが可能になります。

売ったり買ったりの回数が増えるほど、確実に長期リターンを蝕むものがあります。取引コストです。投資におけるコストは、リターンの源泉であるリスクと違って、決してリターンを生むことはありません。無駄なコストをかけないことが成功の第一歩です。

また、中国のバブル崩壊懸念などから足元の市場環境はリスクオフの状態になっています。こういう場合、ボラティリティ(変動率)の上昇に伴い、多くの金融機関・機関投資家はVAR(バリューアットリスク、予想最大損失額)など、あらかじめ定められた健全なリスク管理方針に従って、半ば機械的にリスク量の削減を行います。

それ自体は極めて健全で合理的な行動なのですが、みなが一斉に同じように動くため、市場では売りが売りを呼び、オーバーシュートしがちです。ミクロの健全な投資行動が、マクロの極端な市場変動を招く、合成の誤謬(ごびゅう)のような状況がまま発生しがちです。エンダウメントはそうしたことはせず、あらかじめ決めた資産配分を堅持し、むしろリバランス(調整)により急落した資産を買い増すという逆張り行動を行います。

投資元本が戻るまで30年超になる案件にも投資が可能

第2に、長期投資の利点は、短期投資では不可能な資産や戦略に投資できるという点です。

極端な事例ですが、機関投資家の間で最近注目されている投資戦略のひとつに、インフラ(社会基盤)投資というものがあります。オルタナティブ(代替)投資のひとつなのですが、交通・物流・エネルギー施設など社会資本に対する投資です。こうした投資は回収期間がとても長く、投資元本が戻ってくるまでに20年とか30年、あるいはもっと長期間を要するのが一般的です。

かつては、銀行が中心となって、シンジケート・ローン(協調融資)という形態で他の債権者とチームを組成して資金を提供することが多かったのですが、銀行も規制が強化される中で、短期の預金債務よりもはるかに長い回収期間となるこうした融資がだんだん難しくなりました。途中で現金化することが難しいからです。

ところが、日本の高度成長期と同じで、新興国の借り手は資金の手当てができれば発展に導く自信はあるので、多少割高な条件でも資金調達しようとします。これが流動性プレミアムです。上場株式のようないつでもすぐに現金化できる投資に対しては資金の出し手が多く、市場価格が形成されますが、現金化の困難な長期の投資にはなかなか資金の出し手が現れないため、より高い金利など、投資家に有利な条件が設定されやすいのです。

次ページオルタナティブ投資とは?
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事