カレーの具を"知らない子"増加の背景にある懸念 心と体を使って経験できる場を作ることが重要

✎ 1 ✎ 2
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

私が一番驚いたのは、魚はスーパーマーケットに陳列されている切り身の状態で海の中を泳いでいると認識していた子どもがいたことです。これは本当の話で、びっくりしたことを鮮明に覚えています。

ほかにも、東北地方は雪が多く積もるというイメージをまったく持っていなかったり、「ダウンジャケット」がどういうものかがわからなかったり、いわゆる一般教養や常識が不足している子どもが非常に多くいます。

このような一般教養のない子どもたちが生まれてしまう理由は明白で、大人が必要だと感じること以外のものについて、子どもの興味の芽を摘み取ってしまう傾向が強く、幅広く与えようとしていないからです。

現代社会は、大人が相当な覚悟をもって教えたり与えたりしていかないと、子どもが自然に学ぶことが難しい環境になってしまっているのです。

これにはさまざまな要因が考えられますが、大きな要因の1つとして、やはりスマホやタブレットの普及が挙げられます。制限がかけにくいうえに、興味のあるものにしか触れない環境になってしまっています。

今から20年くらい前なら、子どもたちの娯楽はゲームやテレビが主流でした。ただゲームはテレビに接続する必要があったので、1日何分までなら遊んでもいいなど、制限がかけやすいものでした。

またテレビは、番組によっては世の中の流れや常識を知ることができる貴重な媒体の1つですが、そのテレビの視聴時間も近年は減ってきています。勉強の妨げになるからという理由で、テレビを見ることも禁止してしまえば、本当に狭い世界のものにしか触れない環境になります。

中学受験塾が大切にする「教養」

希学園でも、保護者の方には「スーパーマーケットや動物園・博物館などに連れていって、実物に触れさせてください」「旅行の前後に、地図帳やガイドブックなどで旅先の位置や特産品について確認しながら、親子で話をしてください」などと、保護者の皆さまにさまざまな啓蒙を行っています。

未来につなぐ中学受験  中学受験の価値は大人の考え方で決まる
『未来につなぐ中学受験  中学受験の価値は大人の考え方で決まる』(クロスメディア・パブリッシング)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

それに加えて、テストも宿題もなく、授業のみで教養を身に付けてもらうための講座「小3理科特訓」「小3社会特訓」を開講したり、塾生向けに「社会科チャンネル」「理科チャンネル」を立ち上げて、希学園の講師がさまざまな場所を訪れて解説したり、理科の実験を実演したりする動画を配信しています。

ユーチューブ世代の子どもたちに、少しでも興味を持って、教養を増やしてほしいと考えての取り組みです。

今一度、子どもたちに何を与えるべきかを考え、そのうえで大人が共有して共感してあげる姿勢を見せていきましょう。

そうして、人と人との関係からさまざまなことを学ぶ面白さや大切さを、保護者の皆さまにはぜひとも伝えていただきたいです。

黒田 耕平 希学園理事長兼学園長

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

くろだ こうへい / Kouhei Kuroda

1975年兵庫県伊丹市生まれ。大阪大学在学中より塾講師業に携わり、希学園の算数科講師として、灘中をはじめとした最難関中学校へ多数の合格者を輩出。2009年より希学園学園長に就任した後も、経営トップと二足のわらじをはきつつ、低学年から灘中受験を目指す6年生まで幅広く授業を担当。自ら生徒指導の第一線に立ち続けながら、塾生に一生懸命にやりきることの大切さとその先にある合格・成長の喜びを伝え続けている。著書に『未来につなぐ中学受験』(クロスメディア・パブリッシング)。2015年より神戸新聞にて教育・受験コラムを連載中。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事