トランプ政権再登場で気をもむフィリピンの本音 南シナ海領有権や米比同盟は鉄壁のままか

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トランプ・マルコス電話会談と同じ11月19日、アメリカのオースティン国防長官はフィリピンのテオドロ国防相、ブラウナー国軍参謀総長らと連れ立って南シナ海への出撃地である西部パラワン島を訪れた。

比米防衛協力強化協定(EDCA)に基づきアメリカ軍が使用できるアントニオバウティスタ空軍基地や国軍西部指令本部に加え、アメリカ・インド太平洋軍によって建設された統合情報センターを視察した。

アメリカ高官の相次ぐ南シナ海訪問

オースティン氏は、同センター内に「USタスクフォース・アユンギン」を設置し、アメリカ兵を配置していることをSNSで初めて明らかにした。南シナ海におけるフィリピン軍の活動をアメリカ軍が支援する組織だ。

アユンギンとは、フィリピン国軍が元アメリカ軍艦だった老朽船を意図的に座礁させて実効支配の拠点としている岩礁だ。駐留するフィリピン海兵隊員に食糧などを補給する活動を中国艦船がたびたび妨害しており、まさに紛争の最前線である。

パラワン島を初めて訪れたアメリカ政府高官は、大統領選でトランプ氏に敗れたハリス副大統領だった。

2022年11月22日、日本が政府開発援助(ODA)で供与したフィリピン沿岸警備隊(PCG)の艦船に乗船し「アメリカは南シナ海における示威や威嚇に対し、航行の自由や国家主権を守るため同盟国としてフィリピンと共に立ち上がる」と宣言していた。

オースティン氏の訪比は就任以来4度目だった。アメリカ国防長官が東南アジアの国をこれだけの頻度で訪れるのは異例だ。

パラワン訪問に先立つ11月18日には、マニラ首都圏の国防省本部でテオドロ国防相と「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」に署名した。両国間で機密軍事情報を共有化する枠組みだ。

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