李氏が言うように、完成車メーカーと部品サプライヤーの年度末の価格交渉は古くからある慣習だ。しかし事の本質は価格交渉の是非ではなく、BYDが要求した値下げ幅にある。
「年度替わりの値下げは毎年行われてきたわけではない。だが、完成車市場の価格競争が激しさを増す中で、(部品サプライヤーに対して)以前より大幅な値下げを求めるケースが増えている」。財新記者の取材に応じた自動車業界のベテラン関係者は、そう証言した。
今回のBYDのメールが議論を呼んだのは、その一方的な言い回しや10%もの値下げ要求が驚きを誘ったからにほかならない。
過度のコストダウンに懸念も
前出のベテラン関係者によれば、年度末の価格交渉による値下げ幅は一般的には5%以下だという。部品サプライヤーの利益率は総じて低い水準にあり、仮にBYDの要求をのめば、ほとんどの部品サプライヤーが赤字に陥りかねない。
にもかかわらずBYDが強気の行動に出たのは、同社との取引から得られる規模のメリットをちらつかせて、交渉を有利に運ぶためとみられる。
BYDの月間販売台数は、2024年10月に初めて50万台を突破した。2024年の通期販売台数は400万台を超える見通しで、国有大手の上海汽車集団を抜いて中国首位の自動車メーカーに躍進するのが確実だ。
とはいえ、BYDの好調ぶりは中国自動車市場の全体状況を代表するものではない。価格競争の長期化で多数のメーカーが苦境に立たされており、業界内には過度のコストダウンによる品質低下リスクを懸念する声もある。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は11月28日
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