ドコモ通信網、進化する「24時間監視」の最前線 AI予兆検知で故障防ぐ、能登の教訓を活かす
能登半島地震を契機に新しい設備も導入している。可搬型のスターリンク端末だ。今回の地震を契機に本格導入されたこの装置は、道路寸断で車両が入れない場所での救世主だ。
スターリンク端末は、9月の奥能登豪雨で早速活躍することになった。従来の衛星通信設備は大型のパラボラアンテナが必要だったが、スターリンクは機器が軽量でコンパクト。数人で運べるため、道なき道を担いで避難所や伝送路が寸断された基地局まで運ぶことができる。

「従来の衛星通信に比べて装置が軽量なだけでなく、衛星の捕捉も早く、通信速度も格段に向上しています」と竹内室長は説明する。現在約130台を配備し、車両搭載型と手で運べる可搬型の2タイプを使い分けている。車両が入れる場所では車載型を、道路が寸断された場所では可搬型を、といった具合だ。
移動基地局車両も進化している。従来は大型の衛星アンテナを搭載していたが、スターリンクの導入により小型化が可能に。道路状況が悪い場所でも入りやすくなった。「現場の状況に応じて、最適な手段を選択できる体制を整えています」と竹内室長は語る。

災害対策の次なる一手
今回の経験を踏まえ、ドコモは半島部の伝送路を3ルート化するなど、インフラの冗長化も進めている。また、復旧拠点も全国に整備中だ。「災害は地震や台風といった単純な分類では片付けられません。場所も季節も状況も異なる中で、その都度新しい教訓を得ています」と竹内室長は語る。
そしてドコモは、さらなる通信手段の多様化も視野に入れている。2026年を目指して、成層圏から通信エリアをカバーする航空機型基地局「HAPS」の実用化を検討。また、アマゾンが計画する低軌道衛星「プロジェクト・カイパー」の活用も視野に入れているという。スターリンク、HAPS、静止衛星など、複数の選択肢を組み合わせることで、より強靭な通信インフラの構築を目指す。
止まらない通信インフラの実現。それは地上から宇宙まで、あらゆる技術が結集した終わりのない挑戦なのかもしれない。
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