■10分1000円のハードルを超えるためには
この観点から、色々な財やサービスの価格を時間当たりで計算してみる。タクシーはだいたい10分で1000円。回転寿司屋は大体20分ぐらいで一人2000円、高級寿司屋はお任せで1時間半ぐらいかけて食べ、大体8000円~1万5000円。
もっといってみる。新幹線は東京-大阪まで約3時間で約1万5000円。病院は大体5分の診察で1000円(自己負担3割で)ぐらい。映画は2時間で1800円。ライブは3時間で8000円前後。プロ野球の指定席は3時間で4000円程度。
病院やライブ、日頃から高いなと思っているサービスは、10分1000円をやはり超える。けれど、直感的に高いと思われる高級寿司屋なども、時間当たりで計算すると案外回転寿司屋と変わらなかったりする。
10分1000円というのは、消費者が肌感覚で高いか安いか判断する目安であり、企業サイドにとっても、最終的にたどり着く損益分岐点なのかもしれない。また、企業にとっても消費者にとっても、「時間」というのは、それぞれの意思決定にとって大きなファクターになりつつある。
表参道にある某美容室では、顧客が店に入ってから、店を出るまで、ストップウォッチで測っているという。デザイナーは決められた時間内に終えなければならない。「こだわりが…」などと言っていられない時代になったのだ。「匠」であることよりも、10分1000円を厳守することを覚えさせられる。
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