戒厳令で露呈した「韓国社会が抱える圧倒的な闇」 結局何が突然の戒厳令を招いてしまったのか
保守的な指導者である尹氏は、韓国ではけっして人気があるとは言えない。同氏はわずか0.8ポイントの差で大統領選に勝利した。アナリストによれば、この投票は尹氏を支持したというよりも、リベラルな前任者の失敗に対する国民投票だったという。
前大統領選において尹氏の主要な対立候補は"選挙戦の苛烈さ"であり、それは、後に国会で尹政権への反対派を率いることになる野党の「共に民主党」党首、李在明(イ・ジェミョン)氏の声明に反映されている。
「次期大統領には、分裂と対立を乗り越え、統一と調和の時代を開いていただくよう心からお願いします」
とても国をまとめられる人物ではなかった
63歳の尹氏は、国民を和解へと導く人物とは思えない人物だった。検事総長として、自民韓国党の朴槿恵(パク・クネ)元代表の大統領弾劾後に有罪判決を下し、投獄する手助けをした。汚職事件を専門とする尹氏は、別の元大統領やサムスン電子のトップも追及した。
尹氏が朴元大統領を捜査した時、尹政権は、新たな指導者が前任者を調査するという、韓国における典型的なパターンを継続し、韓国政治の険悪さを助長した。
選挙に立候補した尹氏は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記と会談しながらも核開発を阻止できなかった前任の文在寅(ムン・ジェイン)大統領(進歩主義者)を激しく批判した。
尹氏は軍事訓練を強化し、北に対する制裁を厳格に実施するよう呼びかけ、アジアにおけるアメリカの主要な同盟国として影響力を行使する韓国の姿を思い描いた。