苦境の資生堂、「新中計」がインパクトに欠ける理由 魚谷会長退任だが、成長戦略、構造改革も不透明
ただ、米州や欧州での注力ブランドはスキンケア「SHISEIDO」や「ドランク エレファント」などに変わりはなく、目新しい施策の説明もなかった。M&A(合併・買収)にも「短期的には慎重な姿勢をとる」(廣藤綾子CFO、最高財務責任者)とした。
化粧品業界に詳しい大和証券の広住勝朗シニアアナリストは「欧米の売り上げ成長シナリオをより明確にイメージさせてほしかった」と話す。
「具体的な内容は申し上げていない」
2つ目は、追加の構造改革の内容だ。
2024年には、国内1477人の早期退職募集や、中国での不採算店舗の閉鎖などの改革を実施してきた。第3四半期決算を発表した11月7日には追加の構造改革を2025年に行い、2026年に250億円の利益を生み出すと発表していた。
今回、具体的に説明されると思いきや、その内容も不透明だった。アナリスト向け会見では「250億円の約半分以上が人件費、その他経費から出てくる見込みだが、具体的な内容は申し上げていない」(廣藤綾子CFO)と回答した。
同日の記者会見でも、グローバルでの早期退職募集の可能性などについて「採用抑制や自然減は想定しているが、そういったものはない」と藤原社長が答えている。2026年のコア営業利益率7%の目標は、現時点では達成可能か判断しにくい状況だ。
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