「ソーシャルロボット」には無限の未来がある コミュニケーションには値を付けられず

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大和氏は、この感覚が理解できるようになるまで半年から1年はロボットと生活しなければならないと語る。「われわれのようにロボットと10年以上暮らしてきた人間からすれば、ロボットが人間にとってかけがえのない存在になることは間違いない。いずれ誰もが、コミュニケーション能力を持ったロボットの存在価値に気が付くようになると断言できる」。

「当面はペット市場に置き換わる可能性がある。なぜならソーシャルロボットはペット以上人間未満の存在になると思うから。ペット産業は1兆4000億円の市場規模があると言われる巨大市場だ」。そして人工知能がさらに進化すればロボットは親友のような存在になり、やがては思考の整理をしてくれたり、心の葛藤を浮き彫りにしてくれる「分身のような存在になる」と大和氏は予測する(参考記事:「3年後、ロボットは親友になり、やがて分身になる」)。

そうなれば、持ち主に対する影響力も半端なくなる。Eコマースならぬロボコマース的な販売、マーケティングチャンネルも登場するかもしれない。とはいえ、そうなるまでにソーシャルロボットは、かなり賢くならなければならない。

対話能力が劇的に進化し始めた

そんな中、ソーシャルロボットの頭脳である人工知能が急速に進化し始めている。それがソーシャルロボットが相当のビジネスチャンスかもしれないと思う2つ目の根拠だ。

ソーシャルロボットに搭載される人工知能は、対話エンジンや、バーチャルアシスタント、音声認識エンジンなどと呼ばれるタイプの技術だ。中でもディープラーニングと呼ばれる手法を用いたバーチャルアシスタント技術の領域の進化には目を見張るものがある。

iPhoneに搭載されているバーチャルアシスタントSiriは、かってかなり認識率が悪く、ネタにされることも多かった。しかし最近では、音声入力のテキスト変換はほぼ完璧になっている。筆者自身、LINEについてはテキスト入力ではなく、iPhoneの音声入力機能を使うことが増えてきた。

バーチャルアシスタント技術では、アップル、グーグル、マイクロソフト、フェイスブック、アマゾンが5強と言われ、競争が激化している。アップルはSiriの性能を向上させるため、人工知能や機械学習の専門家の採用を加速しているらしい。

ヴイストンの大和信夫社長

また、iPhoneのOSの次のバージョンでは、ユーザー1人ひとりの音声に合わせてSiriが最適化されるもようだ。使えば使うほど、その人の音声や言語表現の特徴を理解し、正確にコミュニケーションできるようになるのだろう。

そして、こうした進化が加速するバーチャルアシスタントは、サードパーティーに開放される方向にある。アマゾンやマイクロソフトのバーチャルアシスタントは、既にサードパーティーへの開放が始まっている。人工知能技術を持たないベンチャー企業でも、こうした大手の人工知能と連携することで、ソーシャルロボットを開発可能になるわけだ。

3つ目の根拠は、実際にソーシャルロボットを使ったビジネスが動き始めていることだ。

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