国立大病院「235億円の赤字」が意味する"危うさ" 診療が若手の研究時間奪い「論文の質の低下」も

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

外来の延べ患者数も、2022年6月はコロナ前の水準を上回ったが、翌年に再び落ち込んでいる。

外来患者数は、すでに減少局面にある医療圏が多い。医療圏とは、都道府県が医療政策を立案するために設定した範囲のこと。複数の市区町村で構成されているものを2次医療圏という。

厚生労働省が328の2次医療圏について外来患者数を推計したところ、2020年にすでに7割近くでピークを迎えていたことがわかった。

看護補助者さえ集まらない状況

医療職不足も病院経営を圧迫している。

病院経営定期調査によると、医療職の人材紹介会社に支払う紹介手数料・委託料について2022年度は100床当たり231万円だったが、2023年度は6割強増え、同373万円だった。

島氏は、「コロナ後、人材の流動化が加速し、各病院とも看護師をはじめとした医療職不足に悩まされている。また、患者が高齢となり、病院内の介護ニーズが高くなっている。患者介助をしてもらうために看護補助者を募集しても、ほとんど集まらない状況だ」と話す。

病院経営者の頭痛の種は尽きない。

電子カルテなど、病院システムへの相次ぐサイバー攻撃に対するセキュリティ対策、地震や豪雨といった自然災害の中でも医療を継続していくための、病棟耐震化や浸水・止水対策などへの投資も欠かせない。病院経営は困難の一途をたどっている。

君塚 靖 えむでぶ倶楽部ニュース編集部 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きみづか やすし / Yasushi Kimiduka

証券・金融畑の記者を経験した後、医療系記者に転身。2018年1月にメディカル・データ・ビジョンに入社。同社情報誌「えむでぶ倶楽部ニュース」編集部で医療・健康情報のデジタル化と位置付けられる、人が一生涯の健康・医療情報を自ら管理できるPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)についてや、コロナ禍で非接触型医療の新たな形として注目されるオンライン診療などについて執筆している。同社の医療情報サイト「めでぃログ」ポータル(https://portal.medilog.jp/)向けにも記事を執筆している。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事