ジム・ロジャーズ「日本の円安が心配でならない」 「日本は大丈夫」という考えは間違いである

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このような急激な円安局面を受けた政府は、2022年9月と10月に、大規模な為替介入に踏み切った。具体的には2022年9~10月の間で6兆3499億円を投入し、円を買った。

政府が為替に介入したのは24年ぶりであった。先の投入金額が前回の金額を大幅に上回る、1カ月の間の為替介入額としては過去最大の金額であることからも、歴史的な円安であったことが窺える。

その後、一度は円安は収まりかけたように見えた。だが、2023年から24年にかけて再び円安傾向となる。2024年の4月29日には34年ぶりという160円台の大台を突破。本稿を書いている8月8日現在では、世界中で株価が急落している状況も関係し、140円台に戻っているが、円安状態は依然として進んでいる、と言えるだろう。

今、世界は、通貨よりも物価が上昇するインフレ傾向にある。ロシア・ウクライナ戦争の影響も大きい。このような状況のもと円安が加速し、世界中の投資家たちから日本円は捨てられ始めたのである。

円安の原因と日銀政策の見直しの必要性

現在の日本の状況を見ていると、イギリスが破綻したときの状況と似ているように感じられ、私は心配でならない。

そもそも今回の円安の原因は何なのか、考察してみたい。短期的な原因は、アメリカの中央銀行であるFRBが、大幅な利上げを実施したことだろう。日本のメディアや専門家にもそのような論調が多く見られるし、実際にアメリカの利回りの情報や状況により、円の相場が影響を受けていたことは事実だ。

しかし、円安の根本原因は他にあると私は見ている。日銀の政策である。金融緩和政策と称し、日銀が日本円を刷り続けた結果、日本円の価値が下がったと考えているからだ。日銀は2016年以降、金融緩和政策を強化するために、指定した利回りで国債を際限なく買い入れることを決定。その原資として、日本円を際限なく印刷し続けた。

自国の通貨を刷り続ければ、価値が下がるのは必然であり、これは経済に詳しくない人でもわかるシンプルなことだ。つまり、日銀がこのような姿勢を改めない限り、通貨安は続くだろう。2022年12月に、このような金融緩和策の方針転換を決めたが、あくまで一部見直しに過ぎないと私は見ている。

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