会社四季報で見るべきPERとPBR以外の株価指標 PBR革命の次は、PSR革命がやってくる

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

同じく『会社四季報』2024年2集春号の株価チャートを見ると、2021年2月3日に3530円を付けた後、ひたすら下げている。2023年10月31日には、1206円まで下げた。

チャートを見る限り、投資したいとはなかなか思えないのではないだろうか。でも、PSRは0.5倍と割安だ。自己資本比率は64%で、有利子負債が122億円あるが、現金同等物が176億円もあるので、ネットキャッシュが54億円にもなる。実質的に無借金経営である。しかも営業キャッシュフローは73億1200万円の黒字だ。

すでに株価は動意づいていて、2024年に入ってからは上昇基調だ。記事の内容も【上向く】【半導体検査用】とポジティブで、株価はそれを反映しているように思えるが、いずれ高値にチャレンジする場面があるのかどうか、様子を見ておきたい。

短期の爆上げはないと割り切る

もちろん、この手の割安銘柄は万年バリュー状態に陥る恐れはある。が、ポイントは、株価が下がりにくいことだ。そして、株価が動意づくまでには、相当の時間を要することも理解しておく必要がある。下手をしたら1年、2年持ち続けていても、株価が上がらないことも起こりうる。

そのため、多くの投資家はこの手の銘柄に投資しようとは思わないだろうし、仮に投資したとしても、途中でしびれを切らしてしまい、売却してしまうケースが結構多い。現実問題、他の投資家がたとえば半導体関連銘柄に投資して、投資資金を何倍にも増やしているなかで、自分の銘柄はといえば、ほとんど株価が上がらず、いつ上がるのかもわからないという状態で、持ち続けなければならないからだ。

したがって、こういった銘柄に投資する場合は、「短期の爆上げは絶対に期待できない」と割り切って、とにかく持ち続けることしかない。特に財務内容の良い企業であれば、たとえ株価が下落したとしても、倒産するようなことにはならないので、いつか再び注目される局面が来ることを期待して、ただひたすら持ち続けるのだ。

エミン・ユルマズ エコノミスト、グローバルストラテジスト
Emin Yurumazu

トルコ・イスタンブール出身。1996年に国際生物学オリンピック優勝。97年に日本に留学し東京大学理科一類合格、工学部卒業。同大学大学院にて生命工学修士取得。2006年野村證券に入社し、M&Aアドバイザリー業務、機関投資家営業業務に携わった。24年にレディーバードキャピタルを設立し、代表を務める。現在各種メディアに出演しているほか、全国のセミナーに登壇。文筆活動、SNSでの情報発信も積極的に行っている。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事