BuzzFeed、「メディア兼広告代理店」の凄み 多士済々が集結する、その歴史のすべて

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「BuzzFeed」は広告代理店に似ている。独自にネイティブアドの出稿を受け付けて、それを製作部門が製作し、得意のバイラルで広い視聴者にリーチさせるのだ。メディアバイイングの必要はなく、すべてワンストップサービスになる。英支社では全従業員の3分の1にあたる50人がエージェンシーの役割を担っているという。

「エージェンシー機能が組み込まれた」構造について、「The Economist」のトム・スタンリッジ氏は「新しいモデル」と指摘した。「『BuzzFeed』と『Vice』は報道機関を装った、エージェンシーのように見える。彼らは報道機関のように見えるが、実際にはニュースで読者からの信頼と、広告代理店へのパイプを担保している。まさに新しい獣だ」

3. 多額増資、ニュース部門とグローバル展開

同社は2015年5月に「BuzzFeed News」というiOS対応アプリを投入。スミス編集長は、2015年2月にオバマ大統領のインタビューを実現した。スミス氏の下でニュース編集部は、ピューリッツァー賞受賞記者も迎え入れ、250人体制まで膨らんだ。調査報道、イスラム国報道、海外特派員の派遣などニュース報道に力を注ぐ。

中高年によく読まれるニュースコンテンツを充実させれば、トップブランドの広告主を獲得できる可能性が高まる。「Mediassociates」の戦略計画バイスプレジデント、ベン・クンツ氏は「ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた若年者層)にBMWは売れない。BMWは50歳の人に売るものだ」と分析した。また、2016年には報道熱が高まる米大統領選も予定されている。選挙ニュースを多く取り扱って行けば、莫大な選挙広告収入も見込めるのだ。

2015年8月には「BuzzFeed」は評価額を15億ドル(約1840億円)と定め、コムキャストグループのNBCユニバーサルから2億ドルの出資を受けた。「BuzzFeed」はテレビ、映画事業への進出を視野に入れるという。

ペレッティ氏は、2015年8月18日の発表で「最近まとめた取引は、編集とクリエイティブの独立を確かにするためのものだ。同じように重要なのは、NBCからの投資と急速な収益面の成長で、財務面の独立を確かにすること。短期的な利益や駆け込みの新規株式上場(IPO)を追い求めずに成長し、投資できる」と語った。

日本での展開については、プレジデントのコールマン氏は「これまでローンチしてきた他の国ではオーガニックな成長モデルでサイト規模を拡大できていたが、日本では成長を加速させてくれるパートナーと市場を開拓したいと考えた」と指摘した。

日本版の創刊は、南米での展開が好調なように、英語圏以外での拡散要因の確保につながる。すでにトラフィックの45%は米国外からもたらされており、さらなるグローバル化を目指している。

(文:吉田拓史)

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DIGIDAY[日本版]編集部

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