中国で相次ぐ「無敵の人」政府が恐れる"爆発の芽" 豊かな頃から一変、経済不安が渦巻く社会に
中国生活後半4年間は現地の大学に勤務していたが、給料は当初の2.5倍になった。大学から通知される前に、中国人の同僚らから「近隣の●●大学で給料が上がったらしいから、うちも上がるはず」「たぶん9月から1000元(約2万円)上がるよ」と教えられた。
日本は21世紀に入ってずっとデフレだった。筆者が学生時代に住んでいた東京・早稲田のアパートは今も存在し、当時より少し安い家賃で住人を募集している。
日本に旅行に来た中国人にその話をすると、「家賃や不動産の価格が上がらない世界が本当にあるとは思わなかった」と驚かれた。
不動産を買わないと損をする
物価が上がり続ける国で、不動産は真っ先にやるべき投資になる。1990年代にタダみたいな価格で不動産を手に入れた人たちは、その後の上昇で味をしめ、2軒目、3軒目と買えるだけ買った。
2013年、筆者の勤めていた大学でキャンパスが一部移転することになった。同僚の1人が移転先に建ったマンションを購入したので、同僚8人で遊びに行った。
それから2カ月後、8人のうち2人がそのマンションの別の部屋を購入したと聞いてびっくり仰天した。2人とも自分たちが住む家は別にあり、「田舎の親に住んでもらう」と話していた。
今がいちばん安いのだから、今買わないと損をする。そう言いたげだった。
一方、バブル崩壊を経験した日本人は、急ピッチで上昇を続けていると、いつか相場が崩れると考えてしまう。
中国に長く住んでいる日本人からは、「昔、中国人に『日本人ならお金あるでしょ。マンション買いなよ』と言われたけど、不動産投資ってハイリスクだから二の足を踏んでいた。だけどみるみるうちに価格が上がって手が届かなくなり、買っておけばよかったと後悔した」とよく聞いた。
2010年代前半、中東で大規模な民主化運動「アラブの春」が起きたのを機に、日本のマスコミ関係者から「共産党の一党独裁体制に国民は不満を抱かないのか」と聞かれるようになった。
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