中国で相次ぐ「無敵の人」政府が恐れる"爆発の芽" 豊かな頃から一変、経済不安が渦巻く社会に
一連の事件で容疑者の詳細な動機はいずれも公表されていない。ただ、容疑者はいずれも40歳以上の男で、事業に失敗した、前科があるなど、人生が順調でないことを示唆する情報もある。
失うものがなく、犯罪を起こすことに何の躊躇もない人を指す「無敵の人」というネットスラングがあるが、中国で相次ぐ子どもを狙った切りつけ事件の容疑者も、「将来に希望を持てない中高年による、社会への報復」と受け止められている。いわば中国版無敵の人だ。
若者の失業率の高さが取りざたされるが、彼らは選り好みしなければ職はある。本当に苦しいのは失業しても転職が容易ではない35歳以上と言われる。
若者が起点の抗議活動に不安視
中国政府は一連の事件にどの程度危機感を持っているのか。9月に入って次々に経済対策を打ち出したところをみると、今の社会の空気感を不安視しているのは間違いない。
社会をひっくり返すような広がりのある抗議活動は、概して若者が起点になる。
アラブの春の引き金になったのは、チュニジアの若者による抗議の自殺だった。海外の事例を出すまでもなく、天安門事件も、ゼロコロナ政策に無言の抗議を行う「白紙運動」も、中心に大学生がいた。
上海市当局がハロウィン期間に中心部でコスプレを禁止したと報じられた。中国政府がいちばん恐れているのは、前途ある若者による一見軽そうな「連帯」なのかもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら