16年ぶり自己株買い、みずほが取り戻した「平時」 長年の課題「脆弱資本」との決別に市場も好感

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みずほFGが最後に自己株買いを行ったのは2008年7月。直後のリーマンショックで株価急落や与信費用の急増に見舞われ、みずほFGを含む3メガは2008年度決算で数千億円もの巨額赤字を計上した。国際資本規制の厳格化もあり、3メガとも2度の公募増資を断行し資本の底上げを急いだ。

その後、三井住友FGは2011年、三菱UFJFGは2014年に自己株買いを再開。片や、みずほFGは資本の減少につながる自己株買いに踏み切れなかった。当時の資本規制ルールで比較しても、増資後の自己資本比率でなお1~2ポイント劣後していたからだ。

資本不足は、株主還元以外の場面でもみずほFGの足かせとなった。企業買収によるインオーガニック成長だ。

三菱UFJFGは2013年にタイのアユタヤ銀行を5360億円で買収し、2019年に完了したインドネシアのバンクダナモンの買収にも総額6800億円を投じた。三井住友FGも2013年以降インドネシアのBTPN(現バンクSMBCインドネシア)の買収に約2600億円を、2021年にインドのノンバンク買収に約2200億円をそれぞれ費やしている。

対照的に、みずほFGは2011年にベトナムのベトコンバンクに約450億円出資した程度。低金利下の国内では思うように収益を伸ばせない一方、自己資本比率を押し下げる海外金融機関の買収にも踏み切れず、窮屈な経営を強いられていた。

「選択と集中」が奏功

そこでみずほFGは、東南アジアでの買収攻勢には距離を置く代わりに、国内の大企業取引や北米での投資銀行業務など、得意分野に経営資源を投下する。2015年にはイギリスのロイヤル・バンク・オブ・スコットランドから北米向けの貸出債権やコミットメントラインを約3500億円で取得。

加えて着手したのが経費削減だ。もともとみずほFGの経費率は3メガ中ワースト。そこで2017年、全従業員の4分の1にあたる1.9万人と100拠点の削減を標榜し、2018年度決算では基幹システムなどの減損で6800億円もの損失を計上した。2021年からのシステム障害で改革は一時停滞したものの、荒療治により2023年度の経費率は他メガと肩を並べる62.9%まで下がった。

こうして自己資本比率が9%台に乗ると、距離を置いていた資本提携や買収にも踏み切るようになる。2022年から楽天証券に累計1670億円を出資し、2023年にはアメリカのM&Aアドバイザリー会社のグリーンヒルを約760億円で買収。今年に入っても、クレディセゾンのインド子会社に210億円を出資した。

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