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英仏海峡の高速鉄道「ユーロスター」30年の軌跡 航空機を圧倒する国際列車、環境問題も追い風

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1994年に運行を開始したユーロスターの名は、イコール「英仏海峡トンネルを走る列車」として、今や欧州だけでなく世界に広く知られるようになった。そのブランドはさらに広がりをみせている。

2022年に、ユーロスターはフランス・ベルギー・オランダ・ドイツを結ぶ国際高速列車「タリス(Thalys)」と合併。2023年9月末からタリスもユーロスターブランドに統合され、新たな道を歩み始めた。

ユーロスターとタリスのブランド統合直後、パリ北駅に停車する旧タリスの列車。eurostarの文字とロゴが誇らしげだ=2023年10月(筆者撮影)

旧タリスの運行ルートはフランスとドイツやオランダなどを結んでおり、つまりブランド統合で「海峡を通らないユーロスター」が登場したことになる。統合によって、イギリスと欧州大陸各地とを結ぶ鉄道が、乗り継ぎを伴うルートであってもよりシームレスに利用できるようになった。

ユーロスターと旧タリスを合わせた2023年の年間利用者数は約1860万人。2030年には3000万人まで増やすことを目標としている。

ユーロスターとタリスの統合直後のパリ北駅の案内。「ユーロスターのデュッセルドルフ行き」の表示が目新しい=2023年10月(筆者撮影)

環境意識の高まりが発展後押し

高速列車と航空とのマーケットシェア争いをめぐっては、日本では「4時間の壁」といった言われ方がある。所要時間が4時間を超えると航空が優位になるという意味だが、欧州の利用者はえてして、全体の所要時間よりも総合的な利便性で優れたほうを選ぶ傾向にある。

運行開始30周年を迎えた日のセント・パンクラス駅ユーロスターホーム。とくに記念イベントや装飾などはなかった=2024年11月14日(筆者撮影)
30周年を感じさせるのは発車案内ディスプレイの下部に「Happy 30th Anniversary」の文字が流れていた程度だった=2024年11月14日(筆者撮影)
【写真の続き】エリザベス2世女王も参列した英仏海峡トンネルの開通記念式典

航空機利用よりトータルの移動時間がかかったとしても、市内中心の駅が利用できる、自宅からのアクセスが近くてバリアフリーで使いやすいなどの理由で列車を使うという声も多い。航空機による環境負荷への懸念から、列車に優位性を感じる人々も確実に増えている。

運行開始から30年を経て、ユーロスターは国際都市間の速達サービスとしてだけでなく、持続可能な交通機関として大きな期待がかかるようになってきた。40周年、さらに50周年を迎える頃には、はたしてどんな新たな役割を担っているだろうか。

【写真を見る】英仏海峡の高速鉄道「ユーロスター」30年の軌跡 航空機を圧倒する国際列車、環境問題も追い風(32枚)
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