1社独占の英仏高速鉄道に「殴り込み」新参の勝算 30年間「ユーロスター」だけ、なぜ他社参入せず?

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ユーロスターの列車
英仏海峡トンネルの開業以来、1社独占状態が続いてきたユーロスター(撮影:橋爪智之)
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約30年に及ぶイギリス―欧州大陸間高速列車の1社独占が、ついに破られる日が見えてきた。

イギリスに本拠を置く新興企業のエボリン(Evolyn)は10月12日、2025年に英仏海峡トンネルを経由してロンドンとパリを結ぶ高速鉄道事業へ参入し、2026年から本格的に営業運行を開始する計画を発表した。1994年に英仏海峡トンネルが開通して以来「ユーロスター」が独占していたこのルートで、他企業との競争に直面するのはこれが初めてのこととなる。

「必要なプロセスはすべて整っている」

エボリンは、イギリスの公共交通事業者モビコ(Mobico、旧ナショナル・エクスプレス・グループ)の大株主で、スペインのコスメン一族が率いる企業だ。同社によれば、このプロジェクトには総額10億ポンド(約1817億円)が投資される予定で、フランスとイギリスの産業・金融パートナーもこのプロジェクトへの支援を行っているとのことだ。

フランスとイギリスの両政府は、脱炭素化に貢献する鉄道という手段によって、両国のみならずヨーロッパ大陸数カ国との間を結ぶ可能性のあるこのプロジェクトに対し、歓迎の意向を示している。

エボリン広報担当者によると、2025年に開始する予定の暫定運行で、1日どれだけの運行本数が設定されるのかについて話すのは時期尚早とのことであるが、最初の区間についてはユーロスターと同じ、パリ北駅とロンドン・セントパンクラス駅間とのことだ。

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