1社独占の英仏高速鉄道に「殴り込み」新参の勝算 30年間「ユーロスター」だけ、なぜ他社参入せず?
ただし、このプロジェクトの最終的な目標は「イギリスとEUとの間の接続を拡大すること」で、将来的には運行する国を拡大していく予定と述べている。
また、イギリスの高速新線HS1、英仏海峡トンネルを運営するゲットリンク、フランス国鉄(SNCF)ネットワークへの運行許可申請については、「必要なプロセスはすべて整っている」と広報担当者は付け加えている。
ゲットリンクによると、英仏海峡トンネルおよびそれに接続する高速鉄道ネットワークは、現在のほぼ2倍に当たる年間2000万人以上を輸送できるように設計されており、エボリンが参入したとしても線路容量が逼迫するようなことにはならないという。今回のエボリンの決定について、ゲットリンクは「英仏海峡を通過する鉄道市場の成長の可能性と、英仏海峡トンネルのインフラそのものの魅力と質の高さを裏付けるものである」と好意的に受け止めている。
車両導入、メーカーと食い違う主張
車両について、エボリンはアルストムの高速列車「アヴェリア」12本(+4本のオプション)の購入について合意に達したと主張しているが、アルストムは10月16日に発表した声明で、高速列車供給に関する契約はまだ成立していないとエボリン側の主張を否定した。同社はエボリンがプロジェクト資金を確実に確保できる場合に限り、一定数の列車の購入および納入の契約を最終的に締結するとしており、資金面でまだ両社が合意に達していないことがうかがえる。
車両の納入時期についても、現時点では後日締結される確定的な契約をもって、最終的な時期が発表される予定である。この車両についてはリース契約になることがエボリンから発表されているが、リース会社についての具体的な言及はなく、契約条件などについても明かされていない。
新型車両導入へ向けた認可取得などの期間を考えると、現時点で車両の契約が決まっていない状態では運行開始までに決して十分な時間的余裕があるとはいえず、エボリンが発表した2025年からの暫定運行や2026年の本格運行開始については、少々リスクがあると感じざるを得ない。
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