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失速「EV」相次ぐ火災事故で広がる不信の連鎖 危機感つのらす中韓勢、日本勢には好機か

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いずれにしろ安全重視は日本勢にとっては望むところだ。

日本メーカーの車載用電池。中韓勢に対し劣勢が続いてきたが巻き返しなるか(記者撮影)

パナソニックは和歌山工場で、安全性を維持したうえで従来品と比較し容量を5倍に向上させたEV向け円筒形電池「4680」の量産準備を今年9月に完了。東芝はホームページで自社のチタン酸リチウム電池「SCiB」に釘を刺し、30分間破裂・発火しないという動画を掲載し安全性をアピールする。SCiBは安全性や長寿命では評価が高いが、採用実績はHVがメインだった。改めてEV向けに拡販を狙う。

トヨタ自動車、日産、ホンダは、大容量かつ発火の可能性が低いとされる全固体電池の開発を進めると同時に、電池の内製化にも動き出している。

伊藤忠総研エグゼクティブ・フェローの深尾三四郎氏は「発火事故をこれまでほとんど起こしていない日本勢の電池ニーズが高まる可能性がある。中国勢の安値競争に追随しなくても戦えるよう、日本は官民をあげて電池安全に関する標準規格のルールメイキングで主導権を握るべきだ」と指摘する。

EVでも日本勢巻き返しのチャンスに

日本勢が電池の安全性で業界をリードできれば、電池メーカーだけでなく、自動車メーカーにとっても武器になる。

EVではテスラやBYDに先行を許してきた日本の自動車メーカー。遅れた理由として、EVが収益性で厳しく、製品としてまだ欠点も多く、市場動向を見極める意向が強かったことがある。電池のエネルギーマネジメントでも安全性を重視する考えから冗長性を持たせれば、航続距離や充電時間といったEVの商品性は一定程度犠牲になる。

EVの安全性に対する消費者の疑念が高まっているからこそ、「日本勢のEVなら安全」というブランドを構築できれば、テスラやBYDを追撃するうえで大きな意味を持つ。

商品性や安全性に疑問符がつき始めたEV。このピンチをチャンスにできるか、新たな勝負が始まっている。

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