昇太:緊張をほぐす方法はひとつだけ、それは「ウケる」ってことです。それしかありません。
魚住:まず「笑いをとる」わけですか?
昇太:そうそう。とりあえず、なるべく早くウケて気持ちを落ち着かせようとしていますね。でも、笑ってくれない人っているんです。「この人、なぜ落語会に来てるんだろう?」と思うような人。腕組みしちゃって斜めから見てる人が、必ずいるんですよ。
「反応が一番悪い人」に向って話しかける
魚住:落語会は「全員笑うために行くもの」と基本的には思うのですが、たしかにムスッとして、にらみつけるように聞いている「笑わないお客さん」っていますよね……。
昇太:そういうときは、この会場で「一番笑っていない人」に向けてあえてしゃべるんですよ。
魚住:それは意外ですね。てっきり「反応がいい人」に向けて話すとばかり思ってました。
昇太:なぜかというと、不思議なもので、人間って話かけられると、どうしても反応してしまうんですよ。「自分に向けて話している」と思うと、それまで腕を組んで聞いていた人も、だんだんと腕組みをといていくんです。
魚住:「自分に話しかけてくれた、話を聞かなきゃ」というふうにもっていくわけですね。「一番反応が悪い人に向って話す」というのは、一般の人もプレゼンやスピーチで使えるワザですね。
立食パーティのあいさつは「前の人」から攻める
昇太:うちの師匠の春風亭柳昇がよく言っていたのは、「立食パーティ」で話をするとき。立食パーティなんて、お酒を飲んでるは、ご飯を食べているはで、「話を聞いてもらう環境」としては最悪ですよね。
魚住:ざわざわしていて、あいさつしても誰も聞いてないとか。
昇太:そういうときにどうするかというと、「一番前の人から」話しかけていくんですよ。
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