宇宙ベンチャー「ispace」が大型増資をする思惑 株価上昇前提で調達手法の利点を強調する事情

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一度に大量の新株を発行するのではなく、4回に分けることで株価へのインパクトを分散させる狙いがある。加えて、株価が上がれば調達額を増やすことができるため、将来的な希薄化も抑えられると主張する。

また、新株予約権の行使価額を、各決議日前日終値の120%としたことも「株価がそれ以上にならなければ行使されない(=希薄化しない)」ため、株価への配慮となるという。

もっとも、「調達額を増やすことができる」のは、あくまでも株価が上昇した場合の話。目論見に反して株価が下がると調達額も減ることになる。新株予約権分については、各決議前日以降に株価が上がらなければ調達にさえつながらない。

低迷する株価の引き上げを狙う

会社側は、株価上昇を前提に今回のスキームのメリットを強調している。しかし、ispaceの株価はダウントレンドにある。

東証グロース市場に上場したのは2023年4月12日。翌日についた初値は1000円で、IPO時の公募価格254円の約4倍と高い期待を背負ったスタートだった。株価はしばらく上昇を続け、同社が「ミッション1」と位置付けた月面着陸への初挑戦を翌日に控えた4月25日は1990円で引けた。

だが、月面着陸に失敗すると2日連続でストップ安を記録。以降、急騰と急落を繰り返しながらも、今回の増資発表直前の株価は661円だった。

ここから株価を上げていけるか――。そんな疑問に対してispace関係者は「自信の表れとみてもらってもいい」と話す。

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