持ち味薄れた?「孤独のグルメ」特別編への違和感 マンネリこそが持ち味のドラマだったが…

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第1話では荒川区町屋にある昔ながらの商店街の中華料理店の大将(太田光)、第2話では長距離運転や夜勤で疲れ果てたタクシー運転手(マキタスポーツ)、第3話では救命救急センターで日々激務に追われる看護師(板谷由夏)、第4話では苦手力士の差し違えや事務仕事などで振り回される相撲行司(ユースケ・サンタマリア)が主人公になり、それぞれの孤高の幸福な時間が描かれた。

それぞれの孤独のグルメ
『それぞれの孤独のグルメ』(写真:番組公式サイトより引用)

各話の主人公の人生は少しずつ交錯し、それぞれの料理屋で遭遇する井之頭五郎を通してひとつの物語につながる、オムニバスグルメドラマになっている。

『孤独のグルメ』シリーズは、仕事の合間に腹が減った井之頭五郎が、そのときに訪れていた街のどこにでもありそうな料理屋にフラッと立ち寄り、独り飯を楽しむ姿をただ淡々と描く。

毎話の井之頭五郎が腹を空かす状況と、料理屋および食事は変わるが、やっていることはずっと変わらない。そのゆるさが本作の持ち味であり、シリーズ開始当初はほかの作品と一線を画す新機軸だった。それが長きにわたり支持され続け、ファンを増やしてきたゆえんでもある。

そうした流れがあるなか、本作はこれまでの形式から抜け出そうとしている。過去10シーズン守られてきたフォーマットを広げようと試みる、意欲的なドラマになっているのだ。

情報量の多さが特有のおもしろさを損なう?

ただ、そんな本作を第4話まで鑑賞して違和感も抱いた。

確かに、毎話の主人公の人生が映る独り飯グルメにはそれぞれの人間ドラマがあり、そこに井之頭五郎のいつもの食事シーンが重なることで、もりだくさんの内容になっている。充実したストーリーと捉えることもできるが、食事シーンとして見れば、毎話の主人公と井之頭五郎がかぶっている。

また、ドラマ前半の各話主人公の紹介的なお仕事ドラマのパートも長く感じる。中盤ほどでやっと主人公が「腹が、へった」とつぶやいてカットが引いていく、おなじみの“孤独3段カット”があり、そこから食事パートに入る。そして、各話主人公の食事シーンとともに、その店にいた井之頭五郎のいつもの独り飯グルメが、終盤になってようやく差し込まれる。

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