本質的理由は「目的の違い」にあります。ウサギの目的は「カメに勝つこと」でした。一方のカメは「ゴールに到達すること」でした。この違いから、ウサギに油断が生まれました。ではなぜ、ウサギはカメに勝てると思ったのでしょうか?
ここで、「比較」という言葉が登場します。つまり、ウサギはカメと「比較」し、その結果、自分が余裕で勝てると思ったから油断したということです。比較によってウサギはカメを基準に考えてしまったのです。一方のカメの目的は「ゴールに到達すること」であるため、ウサギは眼中になく、比較はありえません。ですから、コツコツと歩み続け、ゴールに到着したのです。
実はこのお話は企業研修でも取り上げる有名なネタでもあります。目的をどこに置くのかによって結果に違いがでるという内容ですが、その背景には「比較」があることは見逃せません。
なぜ人は比較するのか?
ではそもそも、なぜ人はすぐ比較をしてしまうのでしょうか? その理由は2つ考えられます。
(1)優越感を持ちたいから
人は周囲と比較して自分のほうが優れていると感じる気持ちを持ちたい傾向があります。例えば、他人の子どもと自分の子どもを比較して、自分の子どものほうが勝っていると、我が子を誇りに思い優越感が出てきます。それ自体に問題があるわけではありませんが、他者と比較しないと親が優越感を感じられないとしたら問題が起こります。
なぜなら、他者より優れていることで自分の子どもを評価することがデフォルトになってしまっているからです。本来、ほかの子と相対的比較などせずに、我が子を絶対評価していけば十分なはずです。自分の子どもは、これが優れている、これが長所と思っていればよいだけであり、他者と比較しないとよさがわからないとしたら、キリがありません。また、どの分野でも上には上がいますし、今後我が子より優れた能力を持つ子は次々と現れるでしょうから。
(2)安心感を持ちたいから
一般的に人には「他者と同じゾーンでありたい」という欲求もあります。つまり、人には「安心したい」という根源的欲求があると考えられます。他と比較して、自分の子どもが周囲とそれほど変わらなければ、安心できます。他者との比較によって、世の中での親としての立ち位置、子どもの立ち位置を確認し、それによって未来の安心感を得られ、今を安定して過ごすことができます。
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