平沢勝栄「ランチを投稿→批判殺到」なぜなのか ネット民の過剰反応と笑うのは簡単だが…
当時の自民党は野党だったが、次期総選挙での政権復帰が予想されていた。どちらかと言えば、自民に歓迎ムードが出ている時期でも、それなりのバッシングが起きた。安倍氏はその数カ月後、首相へ返り咲いて、長期政権を樹立する。なお、この総裁選で次点だったのが、先日就任した石破茂首相だ。
安倍氏の後任である菅義偉氏も、「ニューオータニのパンケーキ」がやり玉に挙げられた。官房長官時代からパンケーキ好きで知られ、首相就任後にも注目を集めたが、1食2800円(税別、別途サービス料)とあって、政権批判の文脈に用いられた。
ここまで見てきたように、政治家の食事は、批判の的になりがちだ。その背景には、有権者の中で「国会議員は特権階級である」、もしくは「公僕は清貧であるべきだ」といった価値観が根強いことが考えられる。
政治には常にダーティーなイメージが付きまとう。最近では、旧統一教会問題や政治資金不記載問題などで、有権者の1票が「より強い何か」で覆されるのではといった懸念が強まっている。
振り返れば1990年代初頭の政治改革も、リクルート事件や東京佐川急便事件といった政治家の汚職が背景にあった。それでもなお変化せず、甘い蜜をすすっている印象が、国民の多くにあるのは間違いない。
議員報酬の使途まで制限すべきか
そうした背景からすると、政治家に向けられる鋭い視線は、「身から出たサビ」だと言える。とはいえ、議員も人間だ。ちょっとした食事でモチベーションを高めることもあるだろう。完全擁護とは言わないが、少したたきすぎのようにも思えてしまう。
当然ながら、調査研究広報滞在費(旧文通費)や政策活動費を、政治に直結しない目的に使用するのであれば、批判の的になっても当然だ。しかし、給料であるところの議員報酬は、労働や拘束時間への対価であり、その使途まで制限すべきなのだろうか。
たしかに国会議員は高給取りだ。2024年7月に衆議院・参議院から公開されたデータによると、国会議員の平均所得(2023年)は2530万円だった。人によっては、不動産や企業経営などにより、それ以上の収入を得ているケースも珍しくない。
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