東芝は「半導体依存体質」から脱却できるか 社外取締役の動向がカギを握る

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室町社長は、テレビ・パソコン・白物家電、メモリーを除く半導体の「不採算事業」の整理については「年内に方針を打ち出す」意向だ。撤退・売却についても「今の段階では言及することは控えたい」としながら「各事業部やカンパニートップと様々な話し合いをしている」と述べ、選択肢として否定はしていないことも示唆している。

一方で、原発事業について東芝は依然として強気の姿勢を崩していない。市場関係者が懸念する米原発子会社ウエスチングハウス買収時に発生した関連資産(14年3月末で「のれん代」3200億円)は、14年度決算の監査でも「減損は不要」との結論に至っている。

ディスカッションして会社の方針を決定

東芝は9月30日に開く臨時株主総会で、11人の取締役のうち社外取締役が7人を占める新経営体制を発足させる。だが、コーポレートガバナンス改革や企業風土の改善に向けた対策が優先され、半導体メモリーに次ぐ事業の柱をどう打ち立てるか、その方針が見えていない。

室町社長は7日の会見で、東芝のポートフォリオの入れ替えについて「まだ白紙の状態だ」と認めた。「社長が交代したからといって別のポートフォリオは頭には入っていない」と述べた上で、具体的な対策については「新経営体制で社外取締役が7人いるので、ディスカッションして会社の方針を決定していきたい」と述べるにとどめ、事業構造の変革には時間がかかるとの認識を示している。

三菱ケミカルホールディングス<4188.T>会長の小林喜光氏ら経営経験のある社外取締役から、大胆な「選択と集中」を迫られた場合、室町社長ら社内取締役がどのような反応を示すのか。東芝の再建は、不正会計で問われるガバナンスだけでなく、古くからの経営課題が改めて問われることになる。

 

(村井令二 編集:田巻一彦)

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