定年で退職金をもらった直後の「絶対NGな行動」 年金の「繰り下げ受給」で激変する老後マネー

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高井宏章(以下、高井):特集の中で、年金受け取りの繰り下げを行うとどれだけ手取りが増えるかという試算を掲載されていますが、これを見ると、人生100年時代に安心して長生きするためには「繰り下げ一択」だろうと思いますよね。

田島靖久(以下、田島):でも意外に、繰り下げている人はまだわずかです。要因はやっぱり、将来に対する不安がいちばん大きい気がします。年金制度についての後ろ向きな報道は多いですし、(繰り下げた先で)実際にもらえるのか?という不安はあるでしょうね。

高井:なるほど。向こう20年、30年の間に年金制度が破綻してしまう確率は極めて小さいと思うのですが。

田島:一方でマスコミのみならず、金融機関のセールスでも、街角のセミナーでも、とにかく「老後は不安ですよ」「老後資金は足りますか?」というあおり方をするので、その影響は小さくないと思います。

高井:本当にそのとおりですね。私はもう(マスコミを)辞めた人間なので言いますけど、ひどい!(笑)

でもこれ、(年間受け取り額の)モデルケースを見てもらえれば一目瞭然です。額面で、65歳だと180万円なのが、10年繰り下げれば331万円で、84%増える。もう一択ですよね。

下手に運用に手を出すと

田島:だと思いますよね。(老後に)もらえる収入としては年金がいちばん大きいですし、なおかつ繰り下げることによって額も大きくできるという意味では、老後資金の確保に最も効果的です。

それ以前にまず、そもそも自分が年金をいくらもらえるのか把握していない、「ねんきん定期便」が来ても見ていない、という人は多いと思います。そこがクリアでなければ計画も立てられない。

まずは基本情報を把握して、じゃあ繰り下げるといくらになるか、一度ご自身で計算されてみるといいのではないでしょうか。

高井:世の老後資金セミナーに出ていらっしゃるような方々だと、すでに資産もあって、ちゃんと計算すれば年金がけっこうもらえることもわかって、受給を繰り下げれば老後のお金の不安はほぼないはずですよね。

田島:実際、ファイナンシャルプランナーの方に老後のマネープランのシミュレーションをしてもらったのですが、50代まで資産運用をまったくしたことのない人でも「60歳から始めれば間に合います」とのことでした。

ただその時に柱になるものは何かというと、やっぱり年金受給の繰り下げなんですね。「下手に運用なんかに手を出すと食い潰すリスクもあるので、年金を信じてみるのが最も賢い手だ」とのことでした。

高井:そうですね。個人的には、退職金をもらって最初にやってはいけないことは「金融機関の営業マンに会うこと」だと思います。調べるのはいいけど、訳のわからない状態で営業トークを聞いて、勧められるままに金融商品を買うのはいちばんよくない。

田島:ただ、口座に退職金が入ると金融機関は電話してきますからね(笑)。まとまったお金が入ったから全部運用に回す、なんてことは最悪の手ですから、その前に把握する、計画を立てることが重要です。

動画では、週刊東洋経済「お金の終活 超入門」特集の内容を基に、「老後2000万円問題のリアル」「老後も長く働くための3ステップ」「定年後ひとり起業、成功の5カ条」などについても解説しています。
制作:鈴木研一郎
田島 靖久 東洋経済 記者

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たじま やすひさ / Yasuhisa Tajima

週刊東洋経済副編集長。大学卒業後、放送局に入社。記者として事件取材を担当後、出版社に入社。経済誌で流通、商社、銀行、不動産などを担当する傍ら特集制作に携わる。2020年11月に東洋経済新報社に入社、週刊東洋経済副編集長、報道部長を経て23年4月から現職。

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高井 宏章 経済コラムニスト / YouTuber

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たかい ひろあき / hiroaki takai

1972年生まれ、名古屋出身。1995年、日経新聞入社。マーケット、資産運用などを長く担当。2016年からロンドンに2年駐在し、2020年から退職まで編集委員を務めた。日経在籍時は電子版やYouTubeの「教えて高井さん」の動画解説で親しまれ、キャスターとして「日経ニュースプラス9」にも出演。「高井浩章」名義で出版した『おカネの教室』は10万部超のロングセラーに。Twitter、noteで経済にとどまらず、書評や教育論など幅広い情報を発信している。

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