ステンレス業界の苦渋、再編も業績改善の特効薬にならず
NSSCは茨城・鹿島製造所の薄板製造ライン1本を停止。汎用品輸出を抑えて、山口・光と鹿島に残ったラインで稼働率を上げることにより、苦境を乗り切る構えを見せている。
ただし、各社とも有利子負債は400億円を超えており、海外に製造拠点を造るなどの資金的な余裕はない。関係者は「赤字基調では銀行の新規借り入れも難しい」と語る。国内工場への投資についても、市場が縮小する中で、古い設備のメンテナンスが主となっている。単独で海外大手3社や最新鋭の設備を持つ新興国メーカーと伍して戦うのは厳しい。独禁法の問題があるにせよ、今後も再編圧力は強まるだろう。それでも勝ち残れるかは未知数だ。
海外勢を取り込もうという動きもある。目下、業界の注目を集めているのは、日新製鋼がアセリノックスと合弁でマレーシアに造った工場だ。11年秋から試験操業が始まっており、第1工場は建築用。13年始動の第2工場では自動車向けを狙っている。日新製鋼の出資比率は30%で主導するのはアセリだが、市場関係者からは、資金面を考えれば望ましいスキームとの評価が高い。
国内需要の低迷と海外勢の拡大という板挟みにある日本のステンレスメーカー。今後さらに厳しい戦いが予想される中、生き残るための策を打ち出し、実行できるか。残された時間は少ない。
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(山内 哲夫 =週刊東洋経済2011年12月24-31日新春合併特大号)
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