ハンさんは執筆中には「音楽から多くのインスピレーションが得られる」と打ち明けている。
ハンさんは2021年にYouTubeチャンネル「文学トンネ」(トンネは村といった意味)に出演し、「音楽が持つ情緒があるが、そんな情緒が『そうだ、私はこれが書きたかったんだ』と突然気づかせてくれる」と話している。
「音楽から多くのインスピレーション」
さらに『別れを告げない』を執筆していた当時に聴いた歌の中で、韓国の男女(兄妹)デュオであるAKMUが歌う、「어떻게 이별까지 사랑하겠어, 널 사랑하는 거지 How can I love the heartbreak, you're the one I love」(どうして別れまで愛せようか、君を愛しているのに)」を紹介している。
2019年9月にAKMUが発表したアルバム「航海(SAILING)」の中の1曲で、NMIXXリリーとイ・ムジンやBLACKPINKのメンバーをはじめ、これまで韓国の多くの歌手にカバーされている曲だ。
ハンさんは「初稿を書き終えてタクシーに乗ったら、この歌が流れていた。知っている歌だし有名な歌だろうと思って聴いていたが、最後の部分の歌詞がまったく違う意味を持って迫ってきて、知らぬ間に涙を流していた」という。
ハンさんが紹介した歌詞は「어떻게 내가 어떻게 너를(どうやって私が どうやってあなたを)/ 이후에 우리 바다처럼 깊은 사랑이(この先私たちは 海のように深い愛が)/다 마를 때까지 기다리는 게 이별일 텐데(すべて乾いてしまうまで待つことが別れなのに)」だ。
ハンさんは、第117回ノーベル文学賞を受賞した。女性としては18人目、アジアの女性作家としては初の受賞だ。1913年に受賞したインドのタゴール、1968年受賞の日本の川端康成、1994年受賞の大江健三郎、2021年受賞の中国の莫言に続いて、アジアの作家としては5人目だ。
スウェーデン・アカデミーは「歴史的トラウマに向かい合って人間の生の脆弱さを表した強烈な詩的散文」と、その選定理由を発表している。
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