石破内閣は思ったよりもしぶといかもしれない やっぱり自民党がピンチならこの人の出番だ

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もうひとつ気になっているのは、3年前との経済情勢の違いである。皆さん、すっかり忘れているかもしれないが、3年前にはまだインフレがなかった。2021年秋はまだ「コロナ下」であったし、CPI(消費者物価指数)はずっとゼロ近傍で推移していた。

わが国における物価上昇は、2022年2月、ウクライナ戦争勃発による石油価格上昇が契機であった。CPI総合指数はピークの2023年1月には前年同月比4.3%まで上昇し、昨年11月からようやく2%台に低下したが、今年に入ってからは円安効果もあり、なかなか低下しない。せっかく賃上げがあっても、これでは有権者の不満が溜まりやすいとみておくべきであろう。

衆院選は「最悪与党2割減」でもなんとかなる?

それでは今度の選挙で石破内閣は大敗するのだろうか。改めて計算してみると、衆議院の定数465議席のうち、自民党は前回258議席を有していた。仮に1割の25議席を減らしても、233とまだ過半数はキープできている。公明党の32議席を足した連立与党の議員数で行くと、合計290議席から2割減らしても、まだそれに近い線で踏み止まれる。実はかなりの「負け代(しろ)」があって、今の勝敗ラインはかなり甘めなのである。

政権発足からここまでの石破さんは、かなり心もとない感じであった。前言撤回が相次ぎ、「石破さんらしさ」がなくなった、との声も多かった。何より9月27日、総裁選の最中に勝者が「高市(早苗)さんじゃない!」とわかった瞬間に日経平均株価の先物は大幅に下落、30日は現物も2000円近くも下がってしまった。このニュースは「石破ショック」として世界を駆け巡った。

しかし筆者がそれ以上のショックを受けたのは、石破さんがアメリカの有力シンクタンクであるハドソン研究所に寄稿した”Shigeru Ishiba on Japan’s New Security Era: The Future of Japan’s Foreign Policy” (石破茂「日本の外交政策の将来」)という論文である。例の「アジア版NATO」の話が出ているのだが、安全保障論のイロハというべき「集団的自衛権」と「集団安全保障」の定義が混乱している。それ以上に、「アメリカが信用できないから……」という議論を、アメリカのシンクタンクのサイトに載せてしまうのはセンスがなさすぎよう。

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