遅すぎた「じゃらん休刊」で露呈した"残酷な真実" "一強"だった同誌がそれでも休刊となったワケ
また、旅行情報の入手に関しては、1970年代から発売されていた『るるぶ』シリーズなどのムック本で行う人も多く、誌面で紹介された宿泊施設に直接電話をかけて予約する人がジワジワと増えていました。
そんな時代に『じゃらん』が創刊されたことの効果は大きく、多くの宿泊施設をまとめた雑誌の登場で、人々の旅行熱が加速。部屋、風呂、食事、プランなどを比較検討しやすくなり、学生から高齢者までが利用する旅行情報誌として人気を集めました。
それまで旅行と言えば団体が主流でしたが、『じゃらん』は現在につながる個人旅行の流れを作った立役者と言っていいでしょう。
ちなみに、旅行情報誌の先駆者であるJTBは1998年、『じゃらん』に対抗した『るるぶじゃぱん』を創刊。宿泊施設の情報が中心の『じゃらん』に近い誌面構成に、全国各地の「るるぶ情報版」で得た観光情報を織り交ぜる形で勝負したものの、2006年で休刊しています。
リクルートは『じゃらん』休刊の理由について、「昨今のユーザー動向を含む社会の変化を受け止め」「読者のライフスタイルに寄り添ったサービスのさらなる強化をしてまいります」などとコメントしていました。
『じゃらん』はエリアごとに発行されてきましたが、主力の『関東じゃらん』が2011年に『東北じゃらん』と統合されて『関東・東北じゃらん』になり、前年の2010年にも関西版と中国・四国版が統合。さらに2021年5月には月刊をあきらめて隔月刊にするなどの苦しい状況が続いていました。
営業マンがコンサルとしても機能
この間、人々は旅行の情報収集や予約をネットで行うようになり、旅行情報誌を読まなくなっていきました。また、それによって宿泊施設も旅行情報誌への広告出稿を重視しなくなりました。
以前より販売部数が減り、広告収入も得られなければ雑誌が休刊するのは当然でしょう。実際に発行部数や広告出稿がまだ多い『北海道じゃらん』だけは来春以降も継続することがそれを裏付けています。
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