米雇用統計後の日本株はどこで下げ止まるか 鯨の実態は金魚!?市場から消えた3つの「夢」

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第3は、海外株が下落しようが、日本株は上昇する、という「夢」が破れたことだ。

「クジラ」ではなく、「金魚」だった?

日本株が逆行高する理由にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「5頭のクジラ」を挙げる人が多かったが、世界的な潮流には抗しようがなかったといえる。したがって、「5匹の金魚」くらいだと考えた方がよかろう。

とは言っても、国内の投資環境については、たとえば今期の企業増益が覆るわけでもない。日本国内の諸要因は、海外発の悪材料を跳ね返して日本株を押し上げるほどの力はないが、海外市場や為替相場が落ち着けば、日本株の再上昇をもたらすことは可能とみる。

述べてきたたように、3つの「夢」は消え去った。夢敗れた後には経済・企業収益実態という、現実が残るばかりだ。

幸いにして、現実は華やかではないが、捨てたものではない。米国の実体経済は引き続き堅調だ。日本の企業収益も、今期は2ケタ増益が見込まれている。中国経済は悪材料であり続けるが、前述の通り、日米等の景気を泥沼に引きずり込むようなものではなく、中国だけがぶくぶく沈んでいくイメージだ。

このあとの華々しい株価の暴騰はないだろう。薄皮がはげるように、現在市場を覆っている不安心理が後退することで、日経平均株価は、まず目先の底値圏を形成した後、二進一退、三進一退と、地道に上昇基調をたどると見込まれる。個別にも、全面底上げ相場は来ず、良い企業の株価は上がり、悪い企業の株価は下がるという、極めて健全な市場動向となるだろう。

このところの相場の変動が激しく、日経平均の週内変動幅(週内のザラ場最安値~ザラ場最高値)は、8月第3週は1233円、第4週は1479円、9月第1週は1411円と、軽く1000円を超えていた。

ただし、さすがに7日からの1週間は、週末に向けて国内株式市況がやや落ち着いてくると考えている。

9月7日(月)~11日(金)の日経平均の予想レンジは1万7500~1万8200円と、週初に1万7500円水準を叩いたあと、徐々に持ち直しに入っていくと見込む。
 

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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