米雇用統計後の日本株はどこで下げ止まるか

鯨の実態は金魚!?市場から消えた3つの「夢」

破れた夢の第1は、米国株式市場の大幅調整だ。米国の経済環境の堅調さや、依然として緩和気味の金融政策から、「米国株は大崩れしないだろう」との夢を、多くの投資家はみていた。

しかし、当コラムで何度も述べたように、S&P500指数の予想PER(株価収益率)は、2006年以降、概ね12~18倍で推移してきたが、つい最近まで17倍台後半と、上限の18倍に近い位置を続けていた(米調査機関ファクトセット調べ)。つまり、米企業の収益は堅調だが、それ以上に株価が上がり過ぎていたわけだ。さすがに割高さの無理がたたり、夢は破れた。

株価調整進む米国、9月の利上げはあるのか

しかし、同PERは、8月25日の終値ベースの最安値時点では、15.8倍まで低下した。2006年以降の平均値である14.9倍とはまだやや差があるが、何も平均までぴったりPERが下がらなければいけないわけではなく、株価調整は概ね完了してもおかしくない。

なお、FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げのタイミングが注目されている。9月4日発表の8月分の雇用統計では、非農業部門雇用者数前月比が17.3万人増と20万人の大台を下回った。

しかし一方で、6月分、7月分が遡って上方修正されており、失業率は7月の5.3%から5.1%に改善、労働時間も賃金も伸びている。このため、9月のFOMC(米公開市場委員会、16~17日)での利上げの可能性が否定できないとして、4日の米株価は大きく下落した。

実際FRB内部では、9月利上げかどうか、腹は固め切っていないだろう。ただ、FRBも市場を動揺させたいわけではないので、9月利上げの場合でも、「利上げは金融引き締めではなく、ゼロ金利という「異常」な金融政策を正常に戻すだけであり、2回目の利上げはかなり先のことになる」というメッセージを強く出して、市場に対する配慮を行なうだろう。

とすれば、4日の米国株価の下振れは、利上げの影響を懸念し過ぎであったと言える。そもそも、仮に0.25%幅利上げしたところで、大崩れするほど米国経済の足腰は弱くない。

次ページはかなく散った2つ目の「夢」とは?
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