漫画の進化系「ウェブトゥーン」市場を席巻する訳 スマホ時代に適応した"新しい形式"として注目

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また、めちゃコミックは2024年1月に『オークの樹の下』(Seonal,namu,P,Kimsuji/RIDI)というウェブトゥーン作品で、大きな売り上げをあげたことをプレスリリースもしています。アメリカ進出への巨大な投資に、ウェブトゥーン作品の伸長を加味すると、今後がかなり楽しみな存在です。

シーモアのアメリカ向けサービス、MangaPlazaも近年は注力されています。

2024年のAnimeExpoでは、大きなブースを出展し、アメリカのユーザー獲得に力を入れていました。CruchRollやFAKKUなど、アメリカのエンタメPFは、日本のPFのようにWeb広告に力を入れるよりも、大きなイベントでファン向けのイベントや企画をやることでファンを獲得していきました。海外でイベント出展するのは王道と言えましょう。

いずれにせよ、韓国2強が大きくリードして、他が追いかけるというのが、グローバルのウェブトゥーンプラットフォーム(大きくいうと電子コミックプラットフォーム)の競争の構図です。

成長中だが、いまだ発展途上な部分も

ここで、どのようにウェブトゥーン作品を伸ばしていくかが、日本も含めた各国のウェブトゥーン制作サイドの課題にもなっていきます。

『漫画ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

2024年現在の状況は、韓国勢やDC/マーベルなどの北米の動きといえば、ウェブトゥーンを無料かサブスクなどで広め、作品認知を取ったり、作品を連載する媒体としてプラットフォームを使い、映像化や紙コミックの販売につなげるかたちが、ひとつのモデルになっているようです。

言い換えると、世界のウェブトゥーン・電子コミックプラットフォームは、現状作品を広げる点においては力強く成長中ですが、プラットフォーム単独として収益を上げるモデルとしては、いまだ発展途上な部分が多いという現在地かなと思います。

日本の電子コミックの成長は、ウェブ広告手法の発展と錬磨、SNSの台頭とクリエイターの発信の進化、さまざまな課金モデルの開発や、そしてなによりそこに載せる世界中を席巻した社会的大ヒットの存在があったと思います。

『進撃の巨人』(諫山創/講談社)『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴/集英社)などが、この社会的大ヒット作品にあたると思います。

菊池 健 一般社団法人MANGA総合研究所所長/マスケット合同会社代表

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きくち たけし / Takeshi Kikuchi

商社、コンサルティング会社、板前、ITベンチャー等を経て、2010年からNPO法人が運営する「トキワ荘プロジェクト」ディレクター。同時に、京都国際マンガ・アニメフェア初年度事務局、京まふ出張編集部やWebサイト「マンナビ」など立ち上げた。マンガ新聞編集長、とらのあな経営企画、SmartNewsマンガチャンネル、コミチ営業企画、数年に渡り『このマンガがすごい!』(宝島社)の選者を務める。noteにて毎週日曜日に「マンガ業界Newsまとめ」を発信。共著『電子書籍ビジネス調査報告書2023』(インプレス総合研究所)のWebtoonパートを担当した。2024年3月に、一般社団法人MANGA総合研究所を設立。

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