漫画の進化系「ウェブトゥーン」市場を席巻する訳 スマホ時代に適応した"新しい形式"として注目

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日本では、2013年のcomico開始を皮切りに、ウェブトゥーンが意識され始めました。

2020年頃から『俺だけレベルアップな件』(DUBU、Chugong/D&CMEDIA)、『女神降臨』(yaongyi/LINEマンガ)などのヒット作が登場し、注目度が高まります。現在、ピッコマ、LINEマンガ、comicoが日本国内では主要なプラットフォームとなっています。

日本のウェブトゥーン市場は、2022年時点で約500億円と推定されています。これは電子コミック市場の約10%に相当します。ウェブトゥーンの制作方法に関しては、韓国では個人制作で人気が出たものが、のちに分業制のスタジオ制作になり、連載ペースを早めるというようなかたちが見られました。

日本でもウェブトゥーンスタジオが増加

日本でcomicoができた当初は個人作家がほとんどでしたが、近年、日本でもウェブトゥーンスタジオが増加しており、コミチ社の調査によると、2021年末から2023年中盤にかけて、スタジオの数が23から約80へと急増しています。

この頃には、個人のほかにも小さなスタジオなど、なかなか把握が難しい小規模事業者が多数参入しているため、現在はそれ以上のかなりの数が参入していると思われます。

作品傾向としては、韓国で一般的な小説原作の作品のほか、完全オリジナルや、既存の横読み漫画を縦スクロール化するケースも見られます。

また、日本の大手出版社も続々とウェブトゥーン市場に参入しています。その中でも同様に、完全オリジナル、小説原作、既存作品の縦化などさまざまなパターンが生まれています。

また、ウェブトゥーンはスマホに特化された形式ではありますが、レイアウトし直して、紙の単行本として発売されるケースも増えてきています。『氷の城壁』(阿賀沢紅茶/集英社)、『俺だけレベルアップな件』(DUBU、Chugong/KADOKAWA)など、いくつかの作品で国内でも結果が出始めました。

欧米、アジアなどでは、ウェブトゥーンのマネタイズ手段のひとつとして、多くの出版社がウェブトゥーン原作の紙単行本化を行っています。特に北米では、DC/マーベルといった強力なIPを持つ出版社が、ウェブトゥーン形式で新作を連載し無料でファンを育て、それを紙単行本で販売してマネタイズするモデルを増やしています。

クリエイターの動向としては、スタジオ制作の増加により、さまざまな分野からの人材が参入しています。漫画家はもちろん、原作・脚本には小説家やゲームシナリオライターが、作画や仕上げにはイラストレーターやアシスタント経験者が携わるケースが増えています。

制作ツールに関しては、「CLIPSTUDIOPAINT」がウェブトゥーン用のプリセットを提供しており、海外でも一般的に使われているようです。

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