石破首相「裏金議員=非公認・重複なし」決断の裏側 自民党内に怒り、言動の大きなブレで国民不信も
そもそも、政党の公認を得られない無所属候補は、公認料などを失うだけではなく、選挙活動で大きな制約を受ける。具体的には①小選挙区の各候補者が個人で配れるビラやはがきの枚数制限②ポスターの掲示場所も選挙掲示板のみ限定③テレビやラジオの政見放送が行えないーーなどで、公認と無所属の「格差」が極めて大きい。
加えて、公明党の石井啓一代表が7日、記者団に、次期衆院選では自民が非公認とした候補への推薦を見送る意向を示したことも、「決定的なダメージとなる」(自民選対)との指摘が多い。
「全員非公認にすべき」と追及強める野党
一方で、この「裏金議員」の処遇をめぐっては、7日の衆院代表質問で立憲民主の野田佳彦代表が「(処分議員の)大半が公認される。党がお墨付きを与えることに国民の理解が得られるのか」と厳しく批判。日本維新の会の馬場伸幸代表も「国民感情からすれば、裏金に関与した全員を非公認とするべきだ」と追及。石破首相は「甘い処分で幕引きを図ろうとは認識していない」と反論したが、迫力不足は否めなかった。
与野党の代表質問は8日の参院本会議でも続行された後、9日午後の党首討論が解散前の最後の論戦となる。党首討論は野党要求を踏まえて、通例の45分間から80分間に延長することで与野党が合意したが、有識者の間でも「これで国民への判断材料を示したというのは、どう考えてもおかしい」(政治学者)との声が支配的だ。
石破首相は党首討論で改めて解散を明言し、9日午後の衆院本会議で解散を断行する方針。これを受け、次期衆院選は15日公示、27日投開票の日程で実施される。石破首相は同夜、官邸で記者会見し、解散断行についての見解を表明する。首相就任から8日後の解散、26日後の衆院選は、いずれも戦後最短で、解散から投開票まで18日間は、17日間だった前回2021年衆院選に次いで戦後2番目の短さとなる。
こうしてみると、「石破首相は、はじめから解散ありきのシナリオで突っ走った」(立憲民主幹部)ことになるが、「総裁選での発言との矛盾や、総裁や首相就任後の言動の大きなブレが石破首相への国民的不信につながっている」(政治ジャーナリスト)ことは否定できない。それだけに、「10・27衆院選では自ら政権危機を作り出した石破首相の宰相としての資質が問われる」(同)ことは間違いない。
その石破首相は8日昼、森山幹事長、小泉選対委員長と会談し、次期衆院選で旧安倍派の議員らに比例重複立候補を認めない代わりとして、女性候補の擁立を指示した。女性議員の増加が狙いとみられるが、執行部内でも「地方議員も含め、女性議員の候補となる人材は限られており、限られた時間内に擁立するのは難しい」(選対幹部)との声も出ている。
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