石破首相「裏金議員=非公認・重複なし」決断の裏側 自民党内に怒り、言動の大きなブレで国民不信も
石破茂首相(自民党総裁)がいわゆる「裏金議員」に対し、非公認や比例重複を認めないとする「厳しい対応」に踏み切ったことが、「10・27衆院選」の15日公示を前に、自民党内に混乱の渦を巻き起こしている。巨額裏金事件への厳しい世論を踏まえての“逆手のひら返し”ともみえるだけに、関係議員らから「生贄づくり」「二重処分」などの不満、反発が噴出。さらに、衆院選全体にも影響を及ぼすことが確実視されるからだ。
自民党執行部は当初、「地元の判断重視」として、実質的に裏金議員の大半を公認する方向で調整を進めていた。しかし、各メディアの実施した世論調査で、裏金議員については「公認すべきではない」との声が圧倒的だったことも踏まえ、石破首相が党執行部に厳しい対応を求めたため、とみられている。ただ、ほとんどの自民議員は7日までに立候補届け出のための関連書類提出や、政見放送録画撮りを済ませており、「裏金関連議員は手続きのやり直し」(自民選対)を強いられることになる。
「みそぎが済めば終わり」の対応に
この石破首相の時間切れ寸前の決断について、野党側は「そもそも抜け穴だらけ」(立憲民主)と批判、国民の間にも「その場しのぎの偽装工作」(有識者)との不信感が拡大。しかも、比例名簿に登載されない公認候補が数十人規模となれば、「比例名簿がスカスカとなり、自民事務局や元議員らを追加登載して帳尻を合わせるしかないが、純粋比例議員の正当性が失われる」(自民選対)ことにもなりかねない。
そもそも、2005年夏の小泉純一郎政権での「郵政解散」時は、小泉首相が郵政民営化反対議員に「刺客」を立てたが、今回は非公認議員に対立候補は立てず、「当選すれば直ちに追加公認する方針」(同)とみられる。
いわば「みそぎが済めば終わり」(閣僚経験者)という対応だ。というのも、直ちに追加公認しないと、その時点で自民の獲得議席は「単独過半数を大幅に下回る可能性が大きく、自公過半数割れで政局混乱を招きかねない」(自民長老)からだ。
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