日立、国際鉄道見本市に「10年前の車両」なぜ出展? イタリア鉄道の高速列車、何が変わったのか

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そして最大のポイントは、AIを活用したデジタルプラットフォーム「HMAX(エイチマックス)」の搭載を可能としたことだ。

HMAXは、日立が今回のイノトランスで発表した最も注目される技術の1つだ。半導体大手のNVIDIA(エヌビディア)との協力によるもので、架線、線路などのインフラや車両の状態を記録、AIを活用してほぼリアルタイムで処理し、工場や保線現場へ送信。故障や不具合の発生を未然に防ぐことにつなげる。

架線の状態をチェックするカメラや台車の振動などを記録するセンサーなどはすでに実装しており、前段階の運用が行われている。現在は、記録した情報を工場へ持ち帰って処理しているが、HMAXが搭載されれば、その場で情報が解析され、処理速度が飛躍的に向上することになる。

内装も変わり、最上級のエグゼクティブクラスは座席数を大幅に増やし、シートや照明などのデザインも新しくなった。デザインは日立社内で行っているが、イタリアの著名なデザイン会社、ジウジアーロ・アルキテットゥーラ(GIUGIARO ARCHITETTURA)の工業デザイナーからサポートも入っているという。エグゼクティブクラスではケータリングサービスの内容も一新する予定となっている。

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座席数が大幅に増えデザインも変更された最上級の「エグゼクティブ」(撮影:橋爪智之)
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新しくなったビジネス(1等)の車内(撮影:橋爪智之)

完全な「新型」登場の可能性は?

外観デザインは従来とほぼ同じながら、技術面を中心に中身は大きく変わった今回のフレッチャロッサ・ミッレ。だが、完全な新型ではないマイナーチェンジ車両であることは確かだ。今後、フルモデルチェンジされた新型車両が登場する可能性はあるのだろうか。

日立製作所執行役専務で、鉄道ビジネスユニットCEOのジュゼッペ・マリノ氏は、「(外見以外の)中身は完全に新しくなっており、今回発表したこの車両こそがニュージェネレーション(第2世代)の車両だ」と前置きをしつつ、「しかしもちろん、われわれはこれからも歩みを止めることなく進化を続け、来るべき未来へ向けて仕事を進めていく」と語った。

日立 鉄道ユニットCEO マリノ氏
日立の鉄道ビジネスユニットCEO、ジュゼッペ・マリノ氏(撮影:橋爪智之)
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