日立、国際鉄道見本市に「10年前の車両」なぜ出展? イタリア鉄道の高速列車、何が変わったのか
ところが間もなく、アンサルドブレダの親会社フィンメカニカは、鉄道部門の業績悪化で同社の売却を決定。数社による競合の末、売却先に選ばれたのは日立だった。アンサルドブレダは日立レールとして再出発することになり、新型車のプロジェクトは「ボンバルディア+日立」という形に変わったのだ。
紆余曲折あったものの、2015年にデビューしたフレッチャロッサ・ミッレは当時の最新技術を詰め込み、カーデザインで知られるベルトーネによる車体デザインも相まって大好評となった。今ではイタリア都市間輸送に欠かせない存在となり、2021年にはフランス、2022年にはスペインへと運行網が拡大し、そのたびに追加発注されている。
外観は同じでも中身は大変化
今回展示された車両は、ドイツ方面への直通運転を開始するための準備として、2023年11月8日にトレニタリアと契約を交わした8両編成30本(追加オプションとして+10本)で、足回りと内装に大幅な変更を加えたビッグ・マイナーチェンジ版として誕生したものだ。この増備によって、フレッチャロッサ・ミッレは8両編成90本以上の大所帯に成長した。
誕生からずっと「ボンバルディア+日立」という形で製造が続けられてきたが、ボンバルディアはアルストムへ吸収合併され、ゼフィーロ300プラットフォームは日立へ譲渡されることが決定。今回発表された新型からは日立が単独のサプライヤーとなり、製造銘板も従来のボンバルディアなどの社名が入ったものから「Hitachi Rail STS S.p.A.」という表記に改められている。
技術面で具体的に変わった点としては、従来の車両では旧ボンバルディア由来だった主電動機とパワーユニットを日立で再設計したことが挙げられる。これによってより高いエネルギー効率を実現しており、さらにこの変更に合わせて台車や列車制御監視システムも新しくなっている。
これらの変更点に日本の技術を取り入れたのかが気になるところだが、技術的な部分は完全に日立製となったものの、技術開発および製造そのものはすべてイタリアで行ったという。「日本ブランドのイタリア製」というわけだ。
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