「推しの子」でも言及、脚本家が密かに耐える重圧 締め切りに追われる31歳、転身した彼の進む道

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――脚本家の勉強はどこで?

こういう活動を始めたのは、大学で演劇や自主映画を作るサークルに入ったのがきっかけでした。最初は見様見真似でしたが、一度「映画美学校」という、脚本を学ぶための初級コースにも通いました。

でもいちばんの勉強は、面白い作品を観て「あのシーンってシナリオ上だとどうなっているんだろう?」みたいに気になった部分をシナリオ本で見返して、「これくらいの感じで書いてあるのか」と確認することですね。

――昨今の事業環境は?

今(テレビドラマ)1話ごとの制作費は、悲しいかな、どんどん減っています。でも、どこも自社が権利元であるIP(知的財産)を持ちたがっているので、「ウチでもオリジナルものを作りたい」という機運や、そのための枠自体は、予算と相反する形で増えている面もあります。

――脚本家が「いつも締め切りに追われている」のはなぜ?

後ろに控えている人が多いからですね。よくプロデューサーに言われるのは、「別にお前をいじめたくて急かしているんじゃない。脚本の仕上がりが早ければ早いほど、ちゃんと最終的なクオリティーが上がるし、可能性を多く持った状態で制作に入れるから」ということです。

台無しにしてしまったらどうしよう

――アニメ『【推しの子】』でも脚本家の苦悩が描かれました。

脚本家というのがいかに「狭間」に位置しているかを解説しているエピソードがありましたね。「プロデューサー」がいて、原作がある作品なら「原作者」もいて、あとは「監督」という、結局その作品を自分のものとして作っていく人がいて、「演者」がいて。

僕はありがたいことに、これまで(自身の)オリジナル作品を手がけることが多かったですし、演出まで自分でやることも多かったので、板挟みの難しさはあまり経験してこなかったかもしれません。

オリジナルの縦型ショートドラマ制作に挑戦する小御門

――現在は原作のある映画の脚本に挑戦中です。

原作がある作品を手がけるのは今回が初めてです。原作がもう、原作として成立していて、その面白さがちゃんとあるので、それを台無しにしてしまったらどうしようというプレッシャーはすごくあります。

――あなたにとって、仕事とは?

仕事というものの規模感でなければ作り得ないものとか、到達し得ない領域があると思っています。

仕事となればいろいろな制約、守らなきゃいけないことも出てくるんですが、それを守りながらいろんな工夫をして、最大限面白いものを作ろうとしていく。それが脚本家という、エンタメを考える仕事を”仕事としてやる”ことなんだと思います。

東洋経済の動画シリーズ「ドキュメンタリー 仕事図鑑」では、あらゆる現場の「働く人」に密着し、そのリアルな姿をリポートしています。
企画・編集:土生田晃
東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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