「もう1食ほしい」が自衛隊で通用しない絶対理由 ドケチぶりにもほどがある自衛隊の給食不正

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しかし、国民はそれを知らない。自衛隊も隊員を募集する際には「衣食住タダ」と宣伝している。だから自衛隊員は全員がタダと信じ込んでいる。

そのため不正喫食の人事処分を行うと、国民は誤解する。処分された隊員は、無料給食の対象者ではない。さらに、食数不正も無料給食の隊員がやったことではない。ましてや、若手隊員が空腹に耐えかねて2食分や3食分を食べたわけでもない。

ただ、それを国民の大多数は知らないので、そうした自衛隊員に同情するのだ。対して、自衛隊員は本当のことを知っている。だから人事処分は当然とみなすのだ。

無銭飲食だから処分は当然

第1に、不正喫食は「故意の無銭飲食」となる。本来は申請したうえで有料の食事となる。それにもかかわらず、図々しく給食を食べている自衛隊員が存在する。だから自衛隊員は同情の余地はないと考える。

では、自衛隊で無銭飲食がなぜ可能なのか。簡単だ。中ではいっさいチェックしないためだ。下士官兵の食堂では、無料喫食と有料喫食を分けていない。チェックはあっても服装がだらしないかどうか、それも小うるさい自衛隊の学校限定だ。

士官食堂ではチェックはありえない。そもそも士官は不正をしないことになっている。現場の給養員も、下士官兵なので士官のチェックはできない。

無銭飲食者はそれを利用する。素知らぬ顔で給食を食べるのである。当人はライフ・ハックだと心得ている。自衛隊は要領がすべてだ。うまく立ち回って損をせずに、得だけ取るのが正解なのである。そして、「自分は要領よくやっている」と認識している。

そんな隊員が、周りを誘う。「有料給食なんか申請しないでよい。紛れて食べればわからない」と。なお、給食に限らないが、悪事に誘い込む対象は、たいていは目下の若年者である。自分が泥棒をしている自覚がある。そのやましさから仲間を作ろうとするのだろう。

覚えている限りでは、筆者も2回ほど誘われた。1回は数歳上の若手士官から、もう1回は10歳以上も年上のパワハラ士官からだった。断るとどちらも怒り出し、放置しておくと、それからは筆者を愚か者扱いした。無銭飲食は賢い行為だと思っているのだろう。

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