スズメの減少率が絶滅危惧種レベルという危うさ 全国1000カ所で20年間、研究者と市民が調査

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こうした調査と同時に、研究グループによる解析も行われた。農業・食品産業技術総合研究機構(つくば市)の片山直樹主任研究員らの研究グループは、2009~2020年に得られた「モニ1000」のデータから47種類の鳥を選んで3つのグループに分け、記録個体数の変化を比較した。

その結果、農地、草地、湿地など開けた場所を繁殖期に利用するグループ(カルガモ、カワセミ、スズメ、セグロセキレイ、ハクセキレイ、ヒバリ、ムクドリの7種)が、森林の鳥(21種)と里山の鳥(19種)に比べ、減少率が高かった。この7種の鳥は、気温上昇が顕著になった2015年以降に急減したという。

また、里地調査では、記録されたチョウ類181種のうち、出現頻度が低い種を除いた103種の33%に当たる34種の記録個体数も急減していた。

 

森のウグイスの減少はニホンジカの影響か

チュン、チュンと鳴きながらチョコチョコ動き回るスズメは大都市にもいるが、水田や草地が広がる里地では電線に群がる風景が見られたものだ。当たり前だった景色が変わっているのだろうか。

「ホーホケキョ、ケキョ、ケキョ、ケキョ」。低山でも高原でも春先から夏にかけて、ウグイスのオスによるさえずりが聞こえる。声は聞こえども姿は見えずで、姿は見えないことが多い。それもそのはずで、ウグイスは藪の中にいることが多い。

藪を好むウグイス(写真:古屋正善氏)

森林・草原調査では、ニホンジカが生息する森林でウグイスが減少していることがわかった。森林の下藪がニホンジカに食べられてしまうと、居場所がなくなってしまうかららしい。シカが多い調査地点の中には、ウグイスがまったく記録されなくなってしまった場所もあるという。

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