金融庁が生命保険業界の「便宜供与」を実態調査 「マネードクター」のほか「保険市場」も照準に

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9月20日には、生保各社に代理店への便宜供与と、出向者の派遣状況などに関する調査票を送付している。9月9日付の調査票と一部内容が重複しているが、便宜供与については過去に取りやめたものを含めて詳細に回答するよう求めるなど、一段と踏み込んだ質問内容になっている。

金融庁は、今後の監督指針改正に向けた追加の調査だと生保各社に説明しているが、この調査のきっかけになったのも「FPパートナーだ」と大手生保のある役員は解説する。

FPパートナーへの広告提供などに関して調べを進める中で、億円単位の広告料の提供など一部生保が手厚い支援をしている乗り合い代理店が、FPパートナー以外にあることが判明。金融庁としても詳しく調べる必要が出てきたのだという。

アドバンスクリエイトとの取引について調査

その代理店とは、FPパートナーと同じく東証プライム市場に上場しているアドバンスクリエイトだ。同社はグループで「保険市場」という保険比較サイトを運営。サイトのトップページや商品カテゴリー別のページなどに生保各社の商品広告を掲載しているほか、再保険事業も手掛けている。

中堅生保のある幹部は「広告取引はSBI生命保険、ライフネット生命保険、アフラック生命保険、チューリッヒ生命保険、はなさく生命保険、なないろ生命保険あたりが多いと聞いている」と指摘。

さらに「過去に、保険市場への広告出稿を断ったら(アドバンスクリエイトでの)新規契約があからさまに減ったことがある。保有する医療保険の出再(再保険に出すこと)を断ったときも同様だった」と声を潜める。

ほかの販売ルートでは新規契約に大きな増減がなかっただけに、広告などの取引を断った影響と考えざるをえないという。広告や再保険の取引の有無が、比較推奨販売に影響を及ぼしている部分が少なからずあるということだろう。

FPパートナーへの便宜供与問題が取り沙汰された7月以降、金融庁が生保の動きに目を光らせる中で、一部の生保は取引の見直しに着手。東京海上日動あんしん生命保険とSOMPOひまわり生命保険の2社は、アドバンスクリエイトとの広告取引を見合わせる方針を決め、8月以降、その旨を同社に申し入れている。

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