金融庁が生命保険業界の「便宜供与」を実態調査 「マネードクター」のほか「保険市場」も照準に

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さらに、FPパートナーはそうした手厚い「支援」ですり寄る一部生保の商品について、社内での評価を最高で5倍に割り増しにするといった施策を7月まで実施。成績優秀者にはストックオプションを付与するとしていた。

しかし、複数の保険会社の商品を取り扱う乗り合い代理店には、顧客の意向を把握したうえで、複数の商品を比較したり、特定の商品を推奨する場合にはその理由を説明したり、といった「比較推奨販売」がルール(保険業法施行規則)として課されている。

顧客の最適な商品選択を阻害する恐れ

そのため生保による手厚い支援や便宜供与と、その内容に基づいたかのような代理店側の販売促進策は、比較推奨販売を歪め、顧客の最適な商品選択を阻害する恐れがあるわけだ。

金融庁は7月から、FPパートナーと取引する生保各社に取引状況の個別ヒアリングを実施。さらに調査票を送付して実態を調べていたが、比較推奨販売を歪める恐れが強いと判断し、生保各社に広告料の提供などについて事実上の見直しを要求。さらにFPパートナーに対しては関東財務局を通じて9月6日に、保険業法に基づく報告徴求命令を出している。

金融庁は9月6日、「マネードクター」の名称で保険代理店事業を展開するFPパートナーに対して、保険業法に基づく報告徴求命令を出した(編集部撮影)

生保へのヒアリング内容や調査票の回答と、FPパートナーの報告内容を精査し整合性がとれない場合は、FPパートナーに対して立ち入り検査に踏み切る可能性がある。

またFPパートナーは、生保のほかにクレジットカード会社などから見込み客の情報提供(リーズ)を受けて、カード会社との共同募集の形で保険を販売している。もし社内で割り増し評価を受けられる商品を優先的に推奨していた場合は、カード会員の最適な商品選択を阻害していた懸念がある。

そのため、会員の情報を提供している三井住友カードなどカード会社も今後対応を迫られそうだ。

金融庁による取り締まり強化に向けた動きはそれだけではない。

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