中央政治でもインド人民党は、イスラム教徒を差別する改正国籍法を施行、イスラム教徒が多く住むカシミール地方の特権を廃止し、連邦直轄地に併合するなど、イスラム教徒の反発を生む政策を相次いで打ち出していた。
一方で、ヒンドゥー教徒のほうの票を固められたのかというと、このときやはりインド独特の地方政治の派閥争いが亀裂を広げることになった。インド人民党はモディ首相が現地入りして候補者を応援したが、地元に密着した政策で有権者の心をつかむことができなかった。
ヒンドゥー教徒のなかには、シヴァ神をあつく信仰する「リンガヤット」と呼ばれるコミュニティがある。カルナータカ州ではリンガヤットが人口の20%弱を占めるといわれる。
筆者はその「総大将」に直接会ったことがある。リンガヤットの指導者で州首相を務めていたB・S・イエデュラッパだ。
農民の不満が高まる政策
世界経済フォーラムのインド大会でインタビューを申し込み、直接会う機会があった。非常に気難しい人だった。
お付きの人が機嫌を伺いながら、インタビューは英語では行えない、事前に質問項目を提出せよとさまざまな注文をつけてきた。実際に会ってみると愛想笑いの1つもない。見知らぬ日本のジャーナリストを警戒したのか、とにかく扱いが難しい人だった。
それでも権力の座に居続けられるのは、やはり州内での権力基盤が相当強固なのだろうと想像した。
ところがそのイエデュラッパを、インド人民党は、77歳の高齢を理由に辞任に追い込んだ。地方の実力者の影響力を甘く見たインド人民党は、ヒンドゥー教徒の強硬派の反発を集める形となり、痛い敗北を経験することになった。
インド人民党は若者や都市中間層に支持者が多い。カルナータカ州では、州都ベンガルールを除くと、農村地帯の州北部や南部で農民の支持を集めることもできなかった。
廃案に追い込まれた新農業法など、インド人民党の農業政策に対する農民の不満が高まっていた。この構造も他の州にもあてはまることが多い。
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