インド政治のもろさ示した「世界最大」の選挙結果 議席数が大きく減少、与党が後退した3つの敗因

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インド人民党の弱点は①地方政党の潜在力、②イスラム教徒の扱い、③農民の反乱だ。勢いを失っていたかに見えた国民会議派の勝利という予想外の展開は、このインドの政権の知られざるもろさを図らずも示すこととなった。

インド人民党は、前回の2019年の総選挙後、当時の州連立与党だった国民会議派とジャナタ・ダル党(世俗派)JD―Sの議員17人を取り込んで辞任させ、信任投票に持ち込むという強引な手法で州政権を奪取した。

しかし、2023年5月のカルナータカ州の議会選(定数224議席)では、最大野党・国民会議派勢力が単独過半数の136議席を獲得し、モディ首相率いる与党・インド人民党から州政権を奪回した。インド人民党は38も議席を減らし、州議会議長と州閣僚12人が落選した。

インド式民主主義の怖さ

インドの選挙は単純小選挙区制なので、わずかな得票の差が大きく議席の差につながる。国民会議派の得票率は約43%、インド人民党は36%で、7%の差が2倍を超える議席数の差として現れた。インド人民党一色のインド政治の流れに逆行する目立った動きであるとともに、死票が多いインド式民主主義の怖さも改めて示された。

これは国政とまったく同じ構造だ。

第3の勢力となる地方政党がキャスティングボートを握りながら、あちらについたりこちらについたりと不安定さを加速する。地方政党は、その時々のインフレ等の経済状況、派閥争い、全国政党との政治的な駆け引きなど、その場限りの場当たり的な対応をとることも多く安定しない。これも国政と同じで、カルナータカ州では長く再選を果たした州政権がない。

この選挙でも、州南部ではインド人民党と地域政党の候補者が共倒れとなるケースが多かった。

これに対して、貧困層の保護やイスラム教徒に融和的な政策をとった国民会議派は、元州首相が農業や水問題、雇用などの生活に身近な問題を解決すると訴え、地元の人々の支持を広げた。国民会議派中央のマリカルジュン・カルゲ総裁もカルナータカ州出身のダリット(最下層の被差別民)で、現地入りし積極的にテコ入れをした。

インド人民党敗北の2つ目の要因として指摘できるのが、イスラム教徒の扱いである。

カルナータカ州政権は、2022年に州立学校などでの女子学生のヒジャブ(スカーフ)禁止措置を容認した。2023年4月にはイスラム教徒に割り当てた公務員・公立学校入学などでの留保枠を廃止するなど、イスラム教徒に対して厳しい政策が続いた。

ヒンドゥー・ナショナリズムを推進するインド人民党の中央の意向を汲んだものだといえるだろう。イスラム教徒側の反発もあったものと見られる。

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